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[ワルドナー伝説]vol.24 第4章 1  ワルドナーへの63の質問(前編)

[ワルドナー伝説]vol.24 第4章 1 ワルドナーへの63の質問(前編)

『100年にひとりの天才』と称された、ワルドナー(スウェーデン)の半生に迫った書籍『ワルドナー伝説』(卓球王国刊・絶版)。人気を博した1冊を卓球王国PLUSでプレイバック。

Text by
イエンス・フェリッカJens Fellke


第4章 将来のチャンピオンへ贈る言葉

Jan-Ove Waldner’s Tips for Future Champions


←vol.23 第3章 6 ワルドナーというブランド

1 ワルドナーへの63の質問(前編)

ワルドナー(2009年)

■お金のために卓球をやっているわけじゃない。楽しいから卓球をやっているだけなんだ

Q1 君は神という存在を信じているのか?

 「いいえ、ぼくは宗教的な信仰心の厚い人間じゃないし、超常現象のようなものも信じない。でも、ほかの意見や考えを持っている人は尊重しているよ。誰でも何かを信じて生きているものだからね。人生の意味というのは、ハッピーであること、つまりその人が喜びを最大限に感じられることじゃないのかな。誰もが余分なことを考えたり、何か重いものを背負わないで生きていきたいと思っているんじゃないかな」

Q2 君は政治的なことを考えたり、行動したりするのかな。

 「ぼくは政治のことはよくわからないね。でも、ぼく自身の考えというのは社会民主党と保守派の中間のものだと思う。一番大切なのはみんながきちんと生活できる国じゃないかと思っている。人々の中でその生活水準が大きく違うのは良くないと思うよ。しかし、一方で税金が増え続けているのは良くないと思っているけどね。ぼくは選挙の時にあまり投票に行かない。誰かを選ぶのが難しくて、ぼくの考えと一致する人を選べない」

Q3 君はプロ選手としてどのくらいお金を稼ぐんだろう。

 「たくさん稼いでいるとは思うけど、それがどのくらいなのか、ぼく自身よくわかっていない。それはぼくの財務関係を担当しているアドバイザーに聞いてもらうしかないね(後日、その人に尋ねたところ、年俸を明かすことは許可されていないと言われた)。ぼくはお金のために卓球をやっているわけじゃない。ただ楽しいから卓球をやっているだけなんだ。しかし、もちろん、2千ドル(約24万円)の賞金よりは2万ドル(約240万円)の賞金をもらうほうがうれしいよ。でも、お金だけですべてがハッピーになるなんて考えてないよ。どうしようもなく気分が落ち込んでいる時には、いくら銀行に大金があっても、それが解決策を導き、ぼくを助けてくれるわけじゃないから」

Q4 君が今まで旅行した中での一番の思い出は?

 「97年1月のロサンゼルス(アメリカ)だね。招待試合があって、プレーしたんだけど、それはバスケットボールのNBAの、ロサンゼルス・レイカーズの試合の休憩の時に、金擇洙(韓国)と1万5千人の観客の前で卓球ショーをしたことだね」

Q5 一番好きな音楽は?

 「ぼくは音楽をあまり聴かないんだ。でも、ブルース・スプリングスティーンが好きかな。それにU2も好きだな。特にリードボーカルのボノの声がいいね」

Q6 一番好きな映画は?

 「ロバート・デ・ニーロが出演した『ミッドナイト・ラン』かな。ロバート・デ・ニーロとジャック・ニコルソンが好きな俳優だね。何かパワフルな印象がある」

Q7 一番好きな本は?

 「真剣に本を読んだことはないね。でも、テニスのビヨン・ボルグの自叙伝は記憶にある」

Q8 一番好きな食べ物は?

 「いろいろな種類のパスタが好きだね。ぼく自身が料理するのは週に一度くらい。ソーセージのマカロニ添えとか、独身者向けのものを食べているよ」

Q9 君の気に入っているニックネームは?

 「イェーン(Janne)かジー・オーくらいかな。ジー・オーの音が一番いいかな。短くてシンプルだしね」

Q10 『卓球界のピカソ』『卓球のモーツァルト』『バイオリンのストラディバリウスを操るようなラケットさばき』とか言われているけど。 

 「いいように言われるのは悪い気がしないよ。卓球のモーツァルトもおもしろいよね」

Q11 一番好きな飲み物は?

 「食事の時にはミネラルウォーターで、夜遅く飲む時にはビールだね。ドイツビールが最高だね。あのクリーミーな泡が何とも言えない」

Q12 一番の親友は?

 「アペル(ミカエル・アペルグレン)とトーマス・ブローリン(有名なサッカー選手)。アペルとは、ぼくが10歳の時から一緒に練習してきたし、お互い台を挟んで戦ってきた仲だしね。プライベートで会う時にもいつも自然に話をすることができる。ブローリンとは90年代のはじめに知り合って友だちになって、お互いが好きなものが共通している。スポーツ、ギャンブル、競馬、ゴルフとか。いつも一緒にいる遊び友だち」

92年のバルセロナ五輪。ワルドナーがスウェーデンに唯一の金メダルをもたらした

■ キャラクターを言葉で表すとしたら。「楽観主義者、頑固者、ハッピーな男、かな」
 

Q13 今までの君の人生でうれしかったことは?

 「89年の世界選手権、92年のバルセロナ五輪、そして97年の世界選手権かな。もちろん89年は団体で中国を破り、シングルスで優勝した。五輪ではスウェーデンにとって唯一の金メダルを卓球で獲得できたし、97年の時には1ゲームも落とさずに完璧に優勝できたからね」

Q14 最後に泣いたのはいつ?

 「ぼくはあまり泣かないよ。でも、97年世界選手権の表彰式の時にはグッと来るものがあったね。それに、祖父が亡くなった時にはとてもつらかった。彼は、ぼくや兄の試合の時にいつも応援に来ていたし、ぼくらの子どもの頃には面倒を見てもらっていた」

Q15 君を怒らせるものって何?

 「約束もしていないことを約束したように言われて不愉快な思いをすること。一度こういうことがあった。ぼくは卓球ショーをやってくれないかと頼まれて、OKの返事をする前にスケジュールを確認すると答えたんだ。ところが、それをアレンジした人たちがそれを『YES』と受け取って、ぼくとアペルグレンがその約束を果たさずに、『子どもたちが大勢待っていたのにもかかわらず、約束を守らなかった』と新聞で悪く書かれた時には、さすがに怒ったね」

Q16 君のキャラクターを言葉で表すとしたら。

 「楽観主義者、頑固者、ハッピーな男、かな」

Q17 君が望む自分自身の性格というのは。

 「気分が落ち込んだ時に、もう少しエネルギーがあれば……」

Q18 君は恥ずかしがり屋?

  「若い時にはぼくはひどく引っ込み思案で人見知りが激しかった。でも、卓球での成功がぼくを変えてくれた。たくさんのことに取り組んできたことによって、引っ込み思案の性格を克服できた」

Q19 どのような女性に君は恋するんだろう。

 「理解してくれる人。ぼくと共通する部分がある人」

Q20 楽観主義者で、頑固者で、ハッピーな人、が好き?

 「少なくとも、楽観主義者でハッピーな女性がいいね。いや、やっぱり頑固な女性もいいかな」

Q21 夢で誰かとデートできるとしたら。

 「……迷うな。シャロン・ストーンかな」

Q22 君にとっての喜びとは。

 「大きなトーナメントで勝つこと。健康でいること。そしてまわりの人や、ぼくの家族、大事な友だちと一緒に楽しくやれること」

Q23 苦しかった試合は?

 「97年のマンチェスターでの世界選手権で、団体戦でサムソノフに6ー21、7ー21で負けた時」

■ 住んでいるアパートをきれいに掃除した時には
  信じられないくらいに満足するよね

Q24 君が自分を誇りに思う時っていつ?
 「あんまりないね(笑)。でも、住んでいるアパートをきれいに掃除した時には信じられないくらいに満足するよね(笑)」

Q25 何か後悔していることは?
 「ないね」

Q26 君は競馬にお金を賭けたり、いろんなものに賭けたりするけど、なぜだろう。
 「エキサイティングな瞬間を求めているということかな。でも、ここ何年かはあまり熱くならずに、結構冷静だけどね」

Q27 やはりギャンブルにもっとも熱中するということ?
 「中国に遠征に行った時に、ぼくはエリック・リンドと朝の5時までダイス(さいころ)を使って賭け事をしたことがある」

Q28 賭け金は大きいの?
 「数千ドルくらいかな。いつもそんなにきつくはお金を賭けたりしない。楽しいのは賭けることであって、大きいお金をいくら賭けるかということじゃない。友だちと一緒に遊びに行ったり、お互いに電話しながら賭け率を確認したりとかね。同様に、ぼくがアペルやブローリン、そしてアイスホッケーの選手たちと一緒に所有している競走馬の『ピーチ・バレー』も、お金を稼ぐためではなく、みんなが集まる楽しみのひとつなんだよね」

Q29 今までで一番大きな勝ちは?
 「それは言わない。ぼくの中だけにしまっておくよ」

Q30 一番好きな遊びは?
 「バック・ギャモンだね。もう15年間もやっている。短い時間の中でいろんなことが起きるからね。頭の中ですばやく考え、集中しなければいけない」

Q31 なぜ君は運転免許のライセンスを取らないの?
 「講習を受ける時間がなかなかとれないし、自分の車がなくても不便じゃない。それにぼくは怠け者だから」

Q32 2日ごとにホテルに泊まるような生活だけど、疲れない?
 「問題ないよ。どこに泊まろうが、あまり気にならないし、快適だよ」

Q33 もし急にフリーな日ができて、しかも冬でゴルフができない時だったら君は何をするの?
 「テレビでも見るかな。それとも両親のところか兄のところに行くだろうね」

Q34 スウェーデンには徴兵制があるけど、君が軍隊で訓練を受けた時はどうだった?
 「パーソンの故郷、ハルムスタッドというスウェーデン西海岸にある訓練所で5カ月間を過ごしたよ。最初の頃ぼくは硬くなっていたと思うけど、半分を過ぎたあたりから緊張も取れた。ぼくとカールソンとフォン・シェーレはいわゆるスポーツ・ミリタリー・サービスというところに行き、午前、または午後に卓球の練習をすることができたんだ。だから一日がうんざりするほど長いという感覚はなかったね。
 その時に、なぜスポーツマンは軍隊での訓練を短縮でき、優遇されるのかという質問をされたけど、ぼくはナショナルチームレベルのスポーツマンは軍隊での訓練は必要ないと思っている」

Q35 君は左の頬に傷跡があるけど、それがどうやってつけられたのか説明してくれる?
 「香港で試合があった時に、ぼくとアペルは食事をしに外に出ていった。おそらく、ぼくらが食事を終えて、お金を払う時に、ぼくらがかなりお金を持っていることに誰かが気づいたんだろう。ぼくらが店を出た時、アペルは止まっているタクシーに向かって走り出した。その瞬間、ぼくは後ろからガツンと殴られ、道に倒れたんだ。ぼくはすぐに起き上がり、そのまま走り出した。男たちはすぐに追いかけてきたけど、あきらめてそのあと消えてしまった。すべてが一瞬のうちだった。ぼくはそれがナイフかどうか、それともガラスの破片のようなもので頬を切られたのかどうかわからなかった。ぼくは血を流しながら、ショックを受けて、ホテルまで歩いて帰った。あんなに怖い思いをしたことはぼくの人生ではほかにないよ。でも、もし怪しい場所でまずいタイミングにそこにいたら誰でも何もできないものだよ。香港では行ってはいけない場所にぼくは行ってしまったけど、ある意味、そのくらいのケガですんだから、ぼくはラッキーだったのかもしれないね」

Q36 有名人でいることはどんな感じ?
  「良いところは、君は誰なのかと聞かれることなしに、飛行機でビジネスクラスに座ることができることかな。嫌な部分というのは、酔った人たちが話しかけてきて、ぼくがバーの外に出なければいけないこと。常にまわりにぼくが誰なのかを知られていて、誰かに管理されている感じを受けることがある。だから、ぼくは知っている人と一緒にいる時には、いつもと違う行動をすることもある」

Q37 君は報道陣やメディアとはうまくやっているのかな。
 「そうだね。でも、ぼくが彼らに怒ってしまうこともあるね。ぼくが時々、いい試合ができなかったりすると、夜にビールを飲んでいたせいで良くなかった、なんて記事を書かれて怒ったこともある。でも、全体的に言えば、良好な関係だろうね」 

〈ワルドナーへの63の質問(後編)へ続く〉

第1章 キングオブ・テーブルテニス はコチラ→ 第1章 vol.1 卓球王のプロローグ

第2章 達人への道 はコチラ→ vol.5 第2章 1 マスコットから達人へ

第3章 アウトサイド・ザ・コート の1はコチラ→ vol.18 第3章 1 クレイジー・フォー・ゴルフ


『ワルドナー伝説』

1980年代から2000年代頃まで、世界の卓球界をリードした男、ヤン‐オベ・ワルドナー(スウェーデン)。世界選手権優勝、五輪優勝などをはじめとして、数多くの伝説を作った名選手で、「神の子」「卓球のキング」「卓球界の最後の天才」「100年にひとりの天才」と称せられるプレーヤー。その希代のスーパースターの少年時代から現在までの素顔とすごさに迫る渾身の一冊。
2004年 卓球王国発行 四六判 314ページ(絶版)
イエンス・フェリッカ・著 / 今野昇・訳 / 高橋和幸・写真

DVD『ワルドナーのスーパープレー』

D-036  6,809円(税込)2枚セット

約230分、製作:リフレックススポーツ、企画・販売:卓球王国

「100年にひとりの天才」と言われたスウェーデンのヤン-オベ・ワルドナーのスーパープレー集。※全編英語/日本語字幕・吹き替えなし 発売日:2009 年10 月

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