水谷隼&吉村真晴の本音トーク Vol.2「5ゲームマッチでスタートダッシュをかける。そこで大切なのは絶対に凡ミスをしないこと」

The Final 全日本卓球2024 戸上隼輔「勇者への試練」
卓球王国2024年4月号掲載

「あと1本というところで、自分の気持を抑えることに必死で、プレーをおろそかにしてしまった」
男子シングルス決勝が終わり、未だ熱戦の余韻漂う東京体育館のフロア。 表彰式を待つメダリストたちが楽しげに談笑する中、じっと一点を見つめ、微動だにしない戸上隼輔の姿があった。 一体、何が足りなかったのか。 6ゲーム目に3回、7ゲーム目に5回、8回のマッチポイントを握りながら敗れた男子シングルス決勝。頂点に「あと1点」まで迫りながら、戸上のプレーには決して開くことのない扉を必死で叩き続けるような悲壮感が漂った。 3連覇を目前にしたチャンピオンに起きた、ふたつの異変。 まずひとつは精神面だ。前回大会の決勝では2連覇への重圧をものともせず、迷いのない両ハンド攻撃で張本を破った戸上。しかし、表彰式後のミックスゾーンで決勝を振り返り、「あと1本というところで、自分の気持ちを抑えることに必死で、プレーをおろそかにしてしまった」と語っている。