平野美宇「前回の東京オリンピックの前は、苦しい時に私は逃げてしまったので、今回はいくら苦しくても逃げないと決めていました」
長く苦しい五輪選考レース。そして中国戦での勝利。平野美宇が歩く五輪ロード
卓球王国2024年5月号掲載
世界卓球・釜山大会の中国との女子決勝。
3番の平野美宇は完璧なバックハンドとフォア強打で王芸迪をストレートで破った。
すべては1月26日から始まっている。
それはパリ五輪代表の選考レースが終わった日。2年近く続いた、五輪代表レースを2位の成績で終え、念願の五輪のシングルス出場の切符を手にした平野。苦しかった五輪代表選考レースを振り返ってもらった。
[ひらの・みう][木下グループ] 東京五輪銀メダリスト/パリ五輪代表候補選手
2000年4月14日生まれ、山梨県出身。2016年ワールドカップ、17年全日本選手権で史上最年少で優勝、同年アジア選手権で優勝、17年世界選手権では日本選手として48年ぶりのシングルスのメダル獲得。21年東京五輪では団体の銀メダルを獲得。現在、世界ランキング11位(24年6月)
東京が終わった瞬間にパリではシングルスにも出たいとすごく強い思いを抱きました
全日本選手権は平野美宇にとっては「全日本」ではなく、「五輪代表最終選考試合」だった。選考ポイントでは2位だが、すぐ後ろから追いかけてくるのは東京五輪の混合ダブルス金メダリスト・伊藤美誠(スターツ)。当然ながら追いかけられるほうが心理的に苦しいはずだった。しかし、6回戦で平野が勝ち抜き、伊藤が敗れた瞬間に五輪代表のシングルスの切符は平野の手に渡った。
五輪代表選考レースは終わった。2大会連続、五輪のシングルス切符を懸けた激しい戦いを終えた平野は何を考えていたのだろうか。
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●─東京五輪の前も石川佳純さん(全農)との激しいレースで、シングルス枠には入れませんでした。東京が終わってから、どう気持ちを変えて、パリに向かおうとしたのでしょうか?