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バタフライvs.ドイツ 日独ラバー物語<前編> 世界を変える「バタフライ・エフェクト」

別冊卓球グッズ2023掲載

「ドイツラバー」とはESN社が生産し、17ブランドに供給するラバーだ。
今まで表に出ることのなかったESNを紹介する世界初の潜入ルポ。
卓球市場の半世紀を振り返り、バタフライがモンスターブランドになる過程と、そのモンスターに立ち向かったESNという会社に光を当ててみる。「たかがラバー、されどラバー」。卓球選手がこだわり抜く「ラバー」のもうひとつの物語だ。

Text by

今野昇Noboru Konno

扉写真& ESN撮影=江藤義典 photograph by Yoshinori Eto

世界を変える「バタフライ・エフェクト」

世界を変えた「バタフライ」と、巨人に挑んだ「ESN」

 1967年の『スレイバー』の発売によって世界のラバー市場を変えたタマス社のブランド「バタフライ」は、その後も『ブライス』『テナジー』『ディグニクス』と革新的なラバーを発表していく。バタフライは常に世界の卓球市場でのリーディングブランドであり、追い越せない領域を持ち、バタフライ対他のブランド、もしくはリーダーのバタフライに対して、それ以外のブランドがフォロワーとして追いかけていく構図がある。

 [バタフライ・エフェクト]とは自然科学の分野で、力学的に僅かな変化を与えると、その変化があった場合となかった場合では大きく異なる現象が生まれることを表現している言葉だ。NHKの番組のタイトルにもなっているが、卓球界においては、蝶の羽ばたきはわずかな変化ではなく、半世紀にわたって卓球市場を大きく変え、大きなエフェクト(効果)を与え続けてきた。

 今回の特集では、[バタフライ・エフェクト]が変えてきた世界の市場、そして1991年にひとりのドイツ人が作った会社がバタフライのフォロワーではなく、競争相手として世界最大のラバーサプライヤー(供給会社)に成長していった軌跡を追いかけていく。

2014年に完成した「バタフライ・テック」(埼玉・所沢事業所)。
研究開発棟、ラケット棟、ラバー棟、物流拠点。バタフライのモノ作りの心臓部だ

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