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ヨーロッパに渡った挑戦者、上田仁と家族の再起の物語 

[2024年春]

卓球王国2024年8月号掲載

上田仁がブンデスリーガ挑戦1年目を終えた。2023-2024シーズン後半戦からTSVバート・ケーニヒスホーフェンに合流し、主軸としてチーム初のプレーオフ進出に貢献した。
日本では卓球から離れた時期もあった。ドイツ行きの直前にはブンデスリーガ前半戦の出場機会を失うアクシデントにも遭っている。
逆境の中でもがき、覚悟を決めて新たな卓球人生を切り拓いた上田仁と家族の話をしよう。

Tex & photo by

高樹ミナMina Takagi

「人は物質的に恵まれた環境下だと足りない物を探すけれど、最初からなければ、そこにある物で工夫し、満たされる」

プレーオフ準決勝第1戦、チームの勝利を決めた上田

上田仁[うえだ・じん]
1991年12月10日、京都府生まれ。青森山田中・高→青森大→協和発酵キリン。09年世界選手権日本代表、18年男子W杯団体銀メダル。全日本ジュニア2連覇、全日本選手権3位。全日本学生選手権優勝、全日本社会人選手権優勝(4回)。18年3月よりプロ選手として活動し、23年夏からはドイツを拠点にプレーしている

満員となった会場

プレーオフ初進出のケーニヒスホーフェン。昨季王者のデュッセルドルフをホームマッチ初戦で迎え撃つ

 学校の体育館に設けられたアリーナ会場。地鳴りのような歓声。
日本から来た32歳の〝ニューカマー〟上田仁は熱狂の渦の中心にいた。

 「ウエーダー」「ジン!」

 「ウエーダー」「ジン!」

 卓球を愛してやまないドイツのサポーターたちが上田コールを繰り返す。
2024年5月20日。欧州最高峰・卓球ブンデスリーガ男子1部2023─2024シーズンは参戦11チーム中、上位4チームによるプレーオフ準決勝を迎えていた。

 昨シーズンのチャンピオンでレギュラーシーズン2位のボルシア・デュッセルドルフ(以下・デュッセルドルフ)と同3位のTSVバート・ケーニヒスホーフェン(以下・ケーニヒスホーフェン)の第1戦。舞台はドイツ南東部バイエルン州のバート・ケーニヒスホーフェン。

 ホーム&アウェーの最大3試合制で先に2勝したチームが決勝(6月30日・フランクフルト)に駒を進める。
バート・ケーニヒスホーフェンは人口6000人余りの田舎町だ。この町に根差す中堅クラブチームのケーニヒスホーフェンは、17年のブンデスリーガ1部昇格から7シーズン目で悲願のプレーオフ初進出を果たした。

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