呉光憲の申裕斌への手紙「申裕斌だったらできるよ。申裕斌らしくプレーすればいいよ」。彼はパリに爪痕を残し代表チームを去った
水谷隼、今明かされる「全日本の真実」。勝負の厳しさと自分の甘さ。「勝利主義の水谷」が誕生した瞬間
卓球王国2023年7月号 vol.2
Text by
水谷隼Jun Mizutani
試合中は感情を消し、心を鬼にして勝利へ突き進まなければいけない
全日本で優勝するためには試練を何度も乗り越えなければならない。
2007年に全日本で初優勝した時の試練が準決勝の田﨑俊雄さんとの試合だとしたら、翌2008年の全日本選手権は6回戦で戦った坪口道和さんとの試合だろう。
中学2年生で静岡から青森山田学園に転校してから、2人部屋で一緒に生活していたのが3歳年上の坪口さんだった。優しい先輩でいろいろ面倒をみてくれたり、一緒に夜間練習もたくさんして、遊びにもよく出かけた。そんな情が移るような選手との試合は本当にやりたくないものだ。