<アーカイブ>上田仁「ぼくの人生は自分で作る。他の人が責任を持ってくれるわけじゃない」
卓球王国2023年7月号掲載
31歳のプロ卓球選手、上田仁(シェークハンズ)が家族とともにドイツに渡ることを決心した。誰もが彼の覚悟と決断に驚いた。ブンデスリーガ1部の「ケーニヒスホーフェン」でプレーし、チーム初のプレーオフ進出の立役者となり、ホームマッチでは2点を奪い、ファンを熱狂させた。
32歳になった今、ドイツの地で躍動する上田仁。23年4月に彼が語ったインタビューを振り返ってみよう。
[ヨーロッパに渡った挑戦者、上田仁と家族の再起の物語]と合わせて読んでほしい。
Interview by
写真=中川学/レミー・グロス Photographs by Manabu Nakagawa & Rémy Gros
ぼくがどう決断するのか、どう意見を言えるのかが今後の自分の価値だと思った
31歳(当時)の上田仁がT.T彩たまを退団し、ドイツのブンデスリーガ1部の「ケーニヒスホーフェン」と来季の契約を交わした。このチームは今シーズンのレギュラーシーズンでは12チーム中、6位につけ、シュテガー(ドイツ・元五輪メダリスト)やオルト(ドイツ)がプレーしている。
Tリーグでの出場機会が減っていた上田仁だが、昨年の全日本社会人選手権では決勝に進むなど実力は落ちていなかった。
現役選手でありながら、指導者としての資質も評価されていた上田。昨年から「選手兼監督として来てくれないか」というオファーがあったという。明晰で冷静な試合分析、卓球への真摯(しんし)な取り組みと真面目な人柄。日本代表として活躍した実績も申し分ない。
しかし、上田は東京に購入した家も売却。「家族と一緒にドイツに行き、全日本選手権などの国内試合にも出ない」ことを選択した。
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●ードイツ行きを発表して、多くの声が寄せられたと思う。
上田 周りの人からは「すごい決断だね」と言われるけど、前例がなかっただけで、プロとしてやっているわけだから、自分としてはこの選択肢もあると思っています。