呉光憲の申裕斌への手紙「申裕斌だったらできるよ。申裕斌らしくプレーすればいいよ」。彼はパリに爪痕を残し代表チームを去った
【伝説のプレーヤーたち】史上最速の強打者・角田啓輔 後編 「今、卓球をやるとしたら……やっぱり、打ち合うでしょうね」
The Legends 第7回 角田啓輔(1956・57年世界選手権団体優勝)
時にチームを勢いに乗せ、時にピンチを救い、
2大会に渡って、日本男子チームの世界団体優勝に貢献した角田啓輔。
個人戦では不思議なほど、優勝杯には縁がなかった。
しかし、その名は伝説の強打者として、
同時代を生きた人々のに刻まれている。
太く短く燃えた卓球人生に迫る。
Interview by
今野昇、柳澤太朗Noboru Konno、Taro Yanagisawa
田中さんとやると、普通の試合では返ってこないようなボールが返ってくる。
常に待たれている感じだった。
2歳年下で、大学では1学年先輩だった田中の印象を角田はこう語る。
「田中さんとやると、普通の試合では返ってこないようなボールが返ってくる。常に待たれている感じだった。私は馬鹿のひとつ覚えで、同じところばかり狙っていたけど、今考えてみると、それは結局あるコースにしか打てないように、田中さんに追い込まれていたのかもしれない」
昭和29年度全日本男子単決勝、角田 1−3 田中(14−21、19−21、21−19、19−21)
昭和30年度全日本男子単決勝、角田 2−3 田中(13−21、21−19、12−21、21−10、18−21)
昭和31年度全日本男子単決勝、角田 0−3 田中(19−21、18−21、11−21)
昭和29年度大会から、角田啓輔と田中利明は3年連続で全日本の決勝で対戦。そして角田の目の前で、田中はみたび天皇杯を掲(かか)げた。角田は一度も田中に勝つことができなかった。