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決戦のパリへ。平野美宇「ギリギリのところで落ちてきたけど、諦めないで、根性でやれば目標や夢は叶うと思ってもらいたい」

つまずきながらも逞しく。逃げずにつかんだパリへの切符

卓球王国2024年8月号掲載

初出場となった東京五輪では、準決勝まで単複全勝の活躍を見せて、日本女子の団体銀メダル獲得に大きく貢献した平野美宇。
初めての五輪でメダルを獲得できたからこそ、出場を逃したシングルスへの思いも大きくなった。
「逃げなかった」、平野の東京五輪からの3年を振り返る。

Text & Photographs by

浅野敬純Takazumi Asano

[ひらの・みう]
2000年4月14日生まれ、山梨県出身。2016年女子ワールドカップで日本選手初の優勝。2017年全日本選手権女子シングルスで頂点に立ち、女子史上最年少記録を更新(16歳9カ月)。2017年のアジア選手権女子シングルスを制し、同年の世界選手権女子シングルスで日本女子48年ぶりの3位入賞。東京五輪団体戦で銀メダルを獲得。木下グループ所属。世界ランキング9位(2024年6月11日現在)

4年前の「逃げた」東京と「逃げなかった」パリへの3年間。言葉に表れた五輪への決意

 「シングルスは2年間かけて代表になることができたので、メダルを獲りたい気持ちがすごく強い」

 5月20日、羽田空港。WTTコンテンダー太原(中国)へ向けて出発する直前の囲み取材で、パリ五輪への思いを平野美宇はそう口にした。

 伊藤美誠(スターツ)とのデッドヒートの末につかんだパリ五輪シングルス代表。東京五輪では石川佳純とシングルス代表の座を争いながら、最後はわずかに手が届かなかった。それから4年、ようやくつかんだ五輪シングルスへの出場権だからこそ、メダルにかける思いは強い。

 小学生時代から将来を嘱望され、早くから世界の舞台で戦ってきた平野だが、五輪への道のりは本人が思い描いていたほど順風満帆ではなかった。16歳で迎えたリオ五輪は代表を逃し、リザーブ(補欠)として帯同。練習会場のモニターで、同い年の伊藤らがメダル獲得の歓喜に沸く姿を眺めた。東京五輪では団体戦メンバーとして初の五輪出場を果たし、銀メダルを獲得したものの、シングルスは代表選考レース最終盤で石川に逆転を許して落選。心身をすり減らす過酷な競争は涙で幕を閉じた。ただ、五輪を経験するたび、悔しさは渇きに変わり、平野を強くした。

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