[プレイバック2016リオ五輪]DAY9/8月14日・日本女子、準決勝でドイツに敗れる。伊藤美誠、9-3からの悪夢の逆転負け
別冊卓球王国「リオ五輪特集号」掲載
リオ五輪 卓球競技
2016年8月6日~17日/ブラジル・リオデジャネイロリオセントロ・パビリオン3)
写真=今野昇、レミー・グロス
photographs by Noboru Konno & Remy Gros
<女子団体 準決勝>
ドイツ 3-2 日本
◯ゾルヤ 5-11、11-4、8-11、11-6、12-10 伊藤
ハン・イン 11-6、11-9、6-11、6-11、8-11 石川◯
◯シャン・シャオナ/ゾルヤ 11-6、10-12、7-11、11-9、11-7 福原/伊藤
シャン・シャオナ 2-11、11-13、12-14 石川◯
◯ハン・イン 7-11、11-9、11-4、6-11、11-9 福原
日本をはねのけたドイツ。ハン・インがラストで福原を沈める
「あと2点」が遠かった。日本が両手につかみかけた勝利が、指の間をすり抜けていった女子団体準決勝。
2大会連続の決勝進出を目指す日本の相手は、中国からの帰化選手2人を揃えるドイツ。トップに抜擢された伊藤美誠が、左腕のゾルヤを最終ゲーム9︱3とリード。「日本、先制点だ」と思われた瞬間から異変が起きた。「五輪では全然緊張していない」と語っていた伊藤だが、勝利への焦りに間合いが早くなり、ミスが続いてゾルヤが7点連取。最後は10︱12で敗れた。五輪の魔物に魅入られたような敗戦だった。
2番石川が粘り強いフォアドライブの連打で、カットのハン・インを0︱2からの逆転で下し、流れを引き戻した日本。しかし、3番福原/伊藤のダブルスも、ゲームカウント2︱1の4ゲーム目、9︱7と勝利まであと2点の場面で失速する。福原のサービスが緊張から長くなってゾルヤに打たれ、短く出そうとして今度は高く浮いて打ち抜かれる。
3︱0で勝ってもおかしくない試合で、1︱2とリードされるまさかの展開。4番石川は快勝して、勝敗の行方はラスト福原に委ねられる。日本ベンチの石川、ドイツベンチのシャン・シャオナが応援に熱が入り、「アドバイスをしている」と判定されて両選手ともレッドカードで退場。まさに総力戦だ。
福原は時にスマッシュミスが続きながらも、粘り強くハン・インのカットを打ち、ついに最終ゲームへ。出足で1︱3、さらに3︱7と離されながら、ネットインも拾う驚異の集中力で6点連取し、9︱7と逆転する。
決勝進出は目前。しかし、日本は最後まで「あと2点」に泣いた。福原にスマッシュミスが続き、最後は9︱10でハン・インのバックカットがまさかのエッジボール。日本チームは台の横に当たった「サイド」だと主張したが、受け入れられなかった。
悲運のエッジボールだったが、そこまで追い込まれる前に勝たなければならない試合だった。ベストを尽くしながら、福原は試合後に「今日の負けの原因は、すべて私にあります」と自分を責めた。トップで敗れた伊藤も、「今日の試合はすごく私の責任だなと思います」とコメントした。
8月14日、それは「日本の日」ではなかった。