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〈船ヶ山 陸男〉亡き夫が残したサインラケット ~謎解きから伝説の男にたどりつくまでのお話~

卓球王国2022年8月号掲載

Text by

伊藤条太Jota Ito

 愛知の船ヶ山昌子さんという方からメールをいただいたのは、2022年5月初めのことだった。ご本人は触れなかったが、船ヶ山昌子といえば、全日本選手権マスターズの部で優勝6回の大御所で、昨年もハイシックスティで3位に輝いている。中でも、1999年からの5年連続準優勝の記録は圧巻である。そんな一流選手が私に直々にメールをくれるとは何の用だろうか、怒られることぐらいしか思いつかない。私の記事の中に間違いか失礼な記述でもあったのだろうか。そんな胸騒ぎを覚えながらメールを読み進めると、それは思いもよらぬ内容だった。
(写真は生前の船ヶ山陸男さんと妻・昌子さん/2008年当時)

船ヶ山さんから突然のメール。そして、謎のサインラケット

 船ヶ山さんは10年ほど前に夫の陸男さんを亡くした。その遺品を整理したときに、誰のものかわからないサインがしてある長さ14センチほどのミニラケットを見つけた。見覚えがない物だったため、結婚する前、すなわち1980年以前のものだと思われた。陸男さんは、宮崎工業高校時代にシングルスとダブルスでインターハイに出たこともあり(ダブルスのパートナーは昨年全日本選手権ホープスの部3位の郡司景斗選手の祖父・景勝さんだった)、実業団でも続けたほどの卓球好きだった。その陸男さんが大切に保管していたのだから、名のある方のサインなのだろうと、飾り棚の奥のほうに飾った。その後もサインの主はわからず、掃除をする度に「誰?」と思いながら数日、数カ月、いつしか10年が経っていた。

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