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真説 卓球おもしろ物語2【ピンポンの発明〜壮大な卓球物語の幕開け】

〈その2〉卓球王国2020年8月号掲載

Text by

伊藤条太Jota Ito

卓球の歴史マンガ『マンガで読む卓球ものがたり』(卓球王国発行)の原作者で卓球コラムニストの伊藤条太氏が、マンガには紹介しきれなかった卓球の歴史の裏に隠れたおもしろ話を紹介。2回目の今回は「ピンポンの発明」。さて、どんな裏話が潜んでいるのだろうか……。
●参考文献:『TABLE TENNIS COLLECTOR』ITTF 『PING PONG FEVER』Steve Grant

壮大な卓球物語の幕開け、ピンポンの発明   

 1900年のある日、ロンドンで金属加工会社を経営するジェームズ・ギブは、出張先のニューヨークでおもちゃのセルロイド球を見つけた。優れた長距離走者でもあったギブはスポーツ好きで、シャンパンのコルクを丸く削ったものをボール代わりに、タバコ入れの蓋(ふた)をラケット代わりにして食卓でテニスの真似事(まねごと)をしていたとも、あるいは、ジェイクス・アンド・サン社が発売した卓球セット『ゴシマ(GOSSIMA)』を買って楽しんでいたとも言われる。
 ギブは、そのゲームにセルロイド球を使うことを思いついたのだ。この思いつきが、卓球の歴史を変えることになる。

卓球史最大の功労者、ジェームズ・ギブ(左写真)、右写真は当時のセルロイドボール

 ロンドンに帰ったギブは、さっそく、ジェイクス・アンド・サン社を継いでいた知人のジョン・ジェイクス三世にこの新しいボールを紹介した。セルロイド球は、『ゴシマ』のゴムの表面を網で覆ったボールとは比べものにならないほど軽快に弾み、しかも好都合なことに、わずか2グラムと極めて軽いため、室内で打ち合っても食器などを壊す心配がなかった。居室での遊戯にこれほど好都合なものはなかったのだ。
 ジェイクス・アンド・サン社は、さっそく、9年前に発売したきりまったく売れていなかった『ゴシマ』のボールをセルロイド球に換え、製品名にピンポンとつけ加えて『ゴシマまたはピンポン(GOSSIMA or PING PONG)』として売り出した。1900年9月のことだった。

熱狂的な卓球ブームを巻き起こした『ゴシマまたはピンポン』(左写真)
右写真はゴシマまたはピンポン』を売り出した、ジェイクス・アンド・サン社のジョン・ジェイクス三世

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