呉光憲の申裕斌への手紙「申裕斌だったらできるよ。申裕斌らしくプレーすればいいよ」。彼はパリに爪痕を残し代表チームを去った
水谷隼、今明かされる「全日本の真実」。5連覇を達成。10回の優勝の中でももっとも強い勝ち方をした
卓球王国2023年10月号 vol.5
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水谷隼Jun Mizutani
勝ち続けるためには周りに隙をみせてはいけない
2011年1月の全日本選手権は「圧勝」という形の優勝だった。男子としては史上初の5連覇を達成した。落としたゲームは4回戦の立松圭祐選手(TTSタカハシ)と、準決勝の高木和卓選手(東京アート)との試合、それぞれ1ゲームのみの合計2ゲームだけで、あとはすべてストレート勝ちだった。
2012年ロンドン五輪を翌年に控え、本気でメダル獲得を目指していた私はかなり神経がピリピリしていた。中国超級リーグでも3シーズンプレーし、「他の日本選手と住んでいる世界が違う」「勝って当然」という思いがあった。
準々決勝で丹羽孝希選手(青森山田高)にストレート勝ちしたのだが、前年の対戦では4-2の勝利だった。その全日本選手権の時から周りの人に「そろそろ丹羽が水谷を越えるんじゃないか」と言われていた。私はそういう評価に対してとてもイライラしていた。