ラバーへの執着。狂気のコレクターは何に魅せられたのか
別冊卓球グッズ2022 掲載<後編>
卓球用具の収集にとりつかれた男がいる。1960年代以降に発売された珠玉のコレクションは、茨城県坂東市の卓球専門店「きゃんすぽーつ」に眠っていた。
写真=中川学 photographs by Manabu Nakagawa 協力=真中康之(きゃんすぽーつ) special thanks to Yasuyuki Manaka
「私は中学1年から卓球を始め、兄のおさがりの『Li&Li』(ヤサカ)と『PF4』(紅双喜)のダークレッドを使っていました。『マークV』の初期のパッケージをお店で見て、中身というよりもパッケージに興味を引かれ、コレクションするようになった」と語る真中康之さん。ラケットに貼り、試合で使うわけでもないラバーのパッケージをながめるラバー・コレクター。孤独ではあっても淋しくはない。だってラバーがそこにあるのだから。(真中康之)
ラバーのネーミングに40数年前の空気を感じる
『ペキューラ』
『ペキューラ』(バタフライ)は1985年に発売。うたい文句は「世界最軽量ラバー」「裏カット用ラバー」とある。カタログには「ペン裏面の救世主」とあり、それが名前の由来(ゆらい)か(!?)。PECULARはどうも造語のようで、似ているPECULIARには「奇妙な」という意味があるが、どうも違うような気もする。
当時、ペンホルダーの木面での打球が禁止となり、日本式ペンホルダーの半円コルクの上に貼る一枚ラバーを発売したもの。半円部分を切るために「世界最軽量」だった
『マグニチュード』半粒高表ラバー(上左)