呉光憲の申裕斌への手紙「申裕斌だったらできるよ。申裕斌らしくプレーすればいいよ」。彼はパリに爪痕を残し代表チームを去った
[ワルドナー伝説]vol.8 センセーショナルな16歳
『100年にひとりの天才』と称された、ワルドナー(スウェーデン)の半生に迫った書籍『ワルドナー伝説』(卓球王国刊・絶版)。人気を博した1冊を卓球王国PLUSでプレイバック
Text by
イエンス・フェリッカJens Fellke
第2章 達人への道
From Mascot to Master
4 センセーショナルな16歳
■ナショナルユースチームに集まったスウェーデンの英才たち
79年の春、14歳の時にワルドナーはヨーロッパユース選手権のスウェーデン代表に選ばれた。ほかにアペルグレン、リンド、パーソン——スウェーデンのナショナルユースチームは才能にあふれ、大志を抱く子どもたちの集団だった。
夏の間、合宿や各国の国際ユース大会に彼らは参加した。合宿では昼間、ハードな練習が行われ、夜になると彼らはトランプや「遊びの卓球ゲーム」で熱くなっていた。利き腕と反対の腕にラケットを持ち替えてゲームをしたり、片方がカットマンになって、それを打ち負かすゲーム、片方がロビングを上げて、それをスマッシュで攻めるゲーム、ペンホルダーに持ち替えて行うゲーム、一枚ラバーを貼ったラケットを使うゲーム——子どもたちはゲームを作り出す天才で、消灯の時間になり、ベッドに入らなければいけない時間ぎりぎりまでさまざまな遊びに興じ、夢中になっていた。卓球に対する彼らの情熱は、ある時は抑制のきかないもので、それは一方で選手として強くなっていくひとつの要素でもあった。