呉光憲の申裕斌への手紙「申裕斌だったらできるよ。申裕斌らしくプレーすればいいよ」。彼はパリに爪痕を残し代表チームを去った
[ワルドナー伝説]vol.9 プロの道を選んだワルドナー
『100年にひとりの天才』と称された、ワルドナー(スウェーデン)の半生に迫った書籍『ワルドナー伝説』(卓球王国刊・絶版)。人気を博した1冊を卓球王国PLUSでプレイバック
Text by
イエンス・フェリッカJens Fellke
第2章 達人への道
From Mascot to Master
5 プロの道を選んだワルドナー
■ヨーロッパトップ12のある晩、ワルドナーとリンドの「勝負」は延々と続けられていた
ブラティスラバ(スロバキア)のホテルにて。
84年2月に行われたヨーロッパトップ12のある晩、スウェーデンのナショナルチームの男子監督、トーマス・バーナーは重い疲労感に襲われていた。その理由は、大会に連れてきた二人の選手——ワルドナー(18歳)とリンド(19歳)がカード(トランプ)をやめようとしなかったからだ。
「ベッドに入らなきゃだめだよ」とバーナーは彼らに叫んだ。
カード遊びがそれでも続いたのは、壁を通して、隣の部屋から二人の声が聞こえてくることでわかっていた。バーナーは彼らが一組のトランプしか持っていなかったのを知っていて、部屋に入って行って、それを取り上げた。