篠塚大登「思い出すと悔しいし、苦しいですけど、あの負けが自分への刺激に変わっている」
Afterimage of Paris パリの残像
パリオリンピック日本男子インタビュー 篠塚大登[愛知工業大]
卓球王国2024年11月号掲載
男子団体銅メダル決定戦のフランス戦ラスト、日本男子が敗れたそのコートには、オリンピック初出場の篠塚大登が立っていた。希望と充実、悔恨と落胆、あらゆる感情が含まれた濃密な5日間は、クールな左腕の胸の内に、何を残していったのか。
Interview by
写真=レミー・グロス/ITTF
●しのづか・ひろと
2003年12月23日生まれ、愛知県出身。5歳で卓球を始め、卓伸クラブで腕を磨き、全日本カブ準優勝、全日本ホープス3位。愛工大附属中に進学後、2年時に全日本カデット14歳以下優勝、愛工大名電高1年時にインターハイ準優勝などの実績を残す。23・24年全日本選手権3位、2024年世界卓球団体ベスト8、パリ五輪団体ベスト4。愛知工業大在学、世界ランキング41位(9月10日発表)
最初に組み合わせを見た時、
「始まったらすぐ終わってしまうな」
と思いました。だから後悔しないよう、
やりたいことをやろうと思っていた
パリ五輪では、後半の団体戦からコートに立った篠塚大登。ダブルスでは戸上隼輔とペアを組み、準決勝のスウェーデン戦まで3戦全勝。初のオリンピックという緊張感を感じさせない、攻撃的なプレーを見せた。
一方で、シングルスではスウェーデン戦でシングルス銀メダリストのモーレゴード、銅メダル決定戦のフランス戦では銅メダリストのF・ルブランという強豪と対峙。健闘しながらも惜敗し、日本男子にとって3大会連続の団体戦のメダルは指先をすり抜けた。
8月31日・9月1日に沖縄で行われたTリーグで、琉球アスティーダの一員としてシングルス2戦2勝の活躍を見せた篠塚。その翌日にリモートでのインタビューで、パリでの日々を振り返ってもらった。
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−パリオリンピック閉幕から1カ月近くが経とうとしています。今振り返った時、最初に浮かんでくるシーンは何ですか?
篠塚大登(以下・篠塚) やっぱり団体の準決勝ですね。1番のダブルスを取れて、2番でも(張本)智和がしっかり取ってくれて、2-0で自分たちとしては有利な状況から挽回されてしまった。今までに感じたことのないくらいの悔しさを感じました。