呉光憲の申裕斌への手紙「申裕斌だったらできるよ。申裕斌らしくプレーすればいいよ」。彼はパリに爪痕を残し代表チームを去った
[ワルドナー伝説]vol.11 85年。地元での重圧
『100年にひとりの天才』と称された、ワルドナー(スウェーデン)の半生に迫った書籍『ワルドナー伝説』(卓球王国刊・絶版)。人気を博した1冊を卓球王国PLUSでプレイバック
Text by
イエンス・フェリッカJens Fellke
第2章 達人への道
From Mascot to Master
7 85年。地元での重圧
■観客、メディアの大きな期待と熱い視線が、ワルドナーの手元を狂わせた
85年の3月。スウェーデン第二の都市イエテボリで、世界選手権は開催された。
スウェーデンは準決勝で、1年前のヨーロッパ選手権で敗れたポーランドに対してリベンジを果たした。ワルドナーはその準決勝でクハルスキーに対してすばらしいプレーを見せた。決勝に進むまでにワルドナーは14勝3敗という、チームではもっとも高い勝率を残し、まさにエースとしての活躍を見せていた。
5,300人を超える観客は奇跡を信じていた。スウェーデンの73年以来、12年ぶりの団体優勝。それが今、ここで起きることを彼らは祈っていた。過去にスウェーデン選手が中国のベスト選手を破ったように、もしすべてがうまくいくのなら、スウェーデンは中国を倒すことができるだろう。
1 2