呉光憲の申裕斌への手紙「申裕斌だったらできるよ。申裕斌らしくプレーすればいいよ」。彼はパリに爪痕を残し代表チームを去った
[ワルドナー伝説]vol.13 ワルドナー、世界の頂点に立つ
『100年にひとりの天才』と称された、ワルドナー(スウェーデン)の半生に迫った書籍『ワルドナー伝説』(卓球王国刊・絶版)。人気を博した1冊を卓球王国PLUSでプレイバック
Text by
イエンス・フェリッカJens Fellke
第2章 達人への道
From Mascot to Master
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9 ワルドナー、世界の頂点に立つ
■89年に中国の壁が崩れ、スウェーデンの優勝が歴史を変えた
歴史的瞬間がドイツのドルトムントに訪れようとしていた。
1989年の4月4日。
トップでアペルグレンが江加良を破った時に、中国の壁は揺らぎ始めていた。次にワルドナーが滕義を下した時にその壁は崩れ始め、3番でパーソンが陳龍燦に勝った時には音を立てて崩れ、ワルドナーは4番で江加良の砕石を作り、最後にアペルグレンが陳龍燦を粉砕して、中国の壁はあっけなく、そして跡形もなくなった。
最後の5番の試合以外はゲームオールになる試合ばかりだったが、スウェーデン選手のプレーぶりはバリエーションに富み、強い精神力を見せつけた決勝だった。
スウェーデン選手の対中国の戦術のポイントを挙げよう。
● バック対バックではクロスでラリーを続け、そこから相手のミドル、またはフォアに大きく振っていく
● 攻撃時にドライブとスマッシュを混ぜることで、中国選手のブロックを崩していく
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