［馬龍・アーカイブ特集その1］「ぼくは本気で世界チャンピオンになりたかった」

卓球王国2015年8月号掲載

Ma Long,Standing on the Top

近年の世界の卓球界、その中心にいる中国で、最も成功した選手は「馬龍」だ。
アスリートとしての強さはもちろんで、多くの選手のロールモデルになってきた。人間的にも彼を尊敬する後輩たちは多い。
卓球王国PLUSで過去の特集したものをまとめてみた。偉大なる卓球選手、馬龍に触れてみる。

ジュニア時代から頭角を現していたが、世界タイトルに届かずに、未完の大器と言われた馬龍。誰もがその強さを認めながらも、世界06タイトルに手が届かなかった。そして迎えた2015年の蘇州での世界選手権。馬龍は圧倒的な運動量とテクニック、強いメンタルで世界の頂点に立った。

翻訳＝柳澤太朗

馬龍●マ・ロン
1988年10月20日生まれ、遼寧省出身。13歳の時に北京市チームに移籍し、04年世界ジュニア選手権を制して頭角を現す。06年世界選手権団体戦で初の世界代表となり、それから10大会連続で世界選手権に出場。09・11・13年大会はいずれも男子シングルス3位だったが、今年5月の蘇州大会で初優勝。12年ロンドン五輪団体金メダル、12年男子ワールドカップ優勝。右シェーク両面裏ソフトドライブ型。2015年当時の世界ランキング1位（2015年6月発表）

2015年世界選手権蘇州大会で、悲願の男子シングルス初優勝。
ライバルの許昕や張継科が敗れる中、「重戦車」馬龍は一気にタイトルへ突き進んだ。
頂点へのわずかな差を詰め切れなかった男の何が変わったのか。何が進化したのか
優勝直後の思いを告白する。

ぼくは本気で世界チャンピオンになりたかった。その思いが、これまでにないほど強かった

「蘇州大会では、どれくらいチャンピオンになりたいと思っていたの？」。私は馬龍にそう尋ねてみた。「それはもう、すごくなりたいと思っていたよ」。わざと落ち着きはらってそう答えた後、馬龍は笑い出した。毎日、世界チャンピオンになることばかり考えていたのだと、その笑顔が教えてくれた。