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[ワルドナー伝説]vol.15 欧州タイトルでの完結
『100年にひとりの天才』と称された、ワルドナー(スウェーデン)の半生に迫った書籍『ワルドナー伝説』(卓球王国刊・絶版)。人気を博した1冊を卓球王国PLUSでプレイバック
Text by
イエンス・フェリッカJens Fellke
第2章 達人への道
From Mascot to Master
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11 欧州タイトルでの完結
■90年代はじめに躍り出て、スウェーデンに挑戦状をたたきつけたヨーロッパの3人組
89年に始まったスウェーデンの黄金時代のピークは、バルセロナ五輪、ワルドナーの金メダル獲得の瞬間だったのかもしれない。
89年の世界選手権優勝に始まり、2年後の千葉大会で団体、シングルス、ダブルスの3種目を制した。93年には団体優勝を飾ったものの、その強さには陰りが見え、オリンピックのあとのヨーロッパ選手権や世界選手権のタイトルを真剣に狙っている、もしくは優勝の射程距離にいるのはワルドナーだけだった。
全盛期のスウェーデンに対抗できる若い3人組がヨーロッパにはいた。彼らは90年代のはじめに世界のトップ10に入り、大志を抱き、精神的にも強いヨーロッパ選手だった。それは、バルセロナ五輪銀メダリストのフランスのガシアン、92年ヨーロッパチャンピオンのドイツのロスコフ、94年ヨーロッパチャンピオンのベルギーのJ.セイブだった。
サウスポーのガシアンとロスコフの卓球のモデルになったのは、ボールのライジングをとらえる速攻プレーヤー、スウェーデンのリンドだった。
このふたりの若いヨーロッパ選手は、打球点の早いフォアハンドドライブを生かした攻撃的なスタイルで強くなっていった。
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