［アーカイブ前編］劉国梁「完全なものはない。でも完全に近いものはあるから、そこを求めていく」

卓球王国2015年10月号掲載

月並みの言葉で言えば、目の前の劉国梁はオーラを放っている。中国卓球史の中でも蔡振華と並んで「カリスマ指導者」と呼ぶにふさわしい人物だろう。その言葉は重い。その言葉は的確だ。彼が中国卓球の知能そのものかもしれない。

「常に挑戦すること、新しいものを求めていくことです。完全なものはない。でも完全に近いものはあるから、そこを求めていくのです」

劉国梁●リウ・グオリァン
1976年1月10日生まれ、中国・河南省出身。現役時代はペン表ソフト速攻型で、裏面打法を初めて本格的に取り入れた選手。1996年アトランタ五輪金メダリスト、 1999年世界チャンピオン。五輪で2個、世界選手権で6個の金メダルを獲得。2002年に現役引退し、国家チームのコーチに就任。03年に蔡振華元監督の後に男子監督に就任し、2013年は総監督に就任。その後、中国卓球協会会長に就任した

コーチングは技術です。どう選手を納得させるのか、そのタイミングが重要になります

　現役時代、ペン表ソフト速攻型でありながら、裏面に裏ソフトを貼り、裏面打法を駆使して世界の頂点に立った男、劉国梁。1995年世界選手権でシングルス準優勝、翌96年のアトランタ五輪では金メダルを獲得し、99年には世界選手権で優勝。選手として申し分ない実績をひっさげながら、2002年に26歳という若さで現役を退き、国家チームのコーチに就任。

　当時、蔡振華監督から帝王学を学び、蔡振華氏が中国卓球協会会長、国家体育総局副局長と組織の上部に上がるにつれ、その後継者として中国国家チームの現場の最高指導者として力を発揮していく。

　現在の盤石な中国卓球の礎を作ったのが蔡振華ならば、それをより強固なものに進化させたのは劉国梁だ。

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●ー蘇州での2015年世界選手権が終わって、リオ五輪まで1年となりました。そして今回ジャパンオープン（2015年６月）に久しぶりにトップメンバーが来たのは驚きでした。

劉国梁（以下劉）　世界選手権後もチーム全体は順調な仕上がりです。特に主力選手は良い状態です。今までは韓国オープンとジャパンオープンは中国の超級リーグとぶつかっていて、選手を送り込むことができませんでしたが、今回はスケジュールを調整して、そのツアーの間、超級リーグを休みにしたので日本に来ることができました。