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【People】國松愉美:温かなオレンジに染まる、家族との卓球人生

卓球王国2024年12月号掲載

 日産自動車時代は全日本選手権女子ダブルスで準優勝に輝き、女子シングルスでも表彰台に上った國松愉美(旧姓:林)。かつてギラギラとした真剣勝負の世界に身を置いた彼女は、故郷・高知で卓球仲間、そして家族とラージボールを楽しみながら、温かなオレンジ色の卓球人生を送っている。

長女・優希(左)、次男・優太と

【PROFILE】
國松愉美(くにまつ・ゆみ)
旧姓:林。1956年5月12日生まれ、高知県出身。土佐女子高、中央大、日産自動車でプレーし、1978・79年度全日本女子単で3位、1981年度全日本女子複で準優勝。ラージボールでも次男・優太とのペアで2018年全日本ラージ混合複80優勝、2019年全日本ラージ女子単60優勝など、全国タイトルを獲得

「あんなフワッとしたボールでも、うまく返せないのがラージだし、そこに奥深さがある」

 「やっぱり、悔しいんですよね。うまくできないと」

 ラージボールにのめり込んだ理由を、國松はそう振り返る。そこには土佐女子高、中央大、日産自動車と名門チームでプレーし、日本のトップで戦ってきたアスリートとしての負けん気もあったのかもしれない。

 25歳の時に日産自動車で現役を引退し、3年間社業に専念した後、故郷の高知へ帰った。趣味として卓球を再開していた國松が初めてラージに出合ったのは2003年。高知で全国ラージボール大会が開催された際、審判員として参加したのがキッカケだった。

 県内でラージの普及に尽力していた川崎孝伺に誘われて自らもラージをプレーするようになり、初めて出場した2008年の全国ラージでは、川崎とのペアで混合ダブルス100で優勝。そこから現在まで何度も全国タイトルを獲得してきたが、最初は「ショックだった」という。

 「ラージを始めた頃はフォア打ちすらできなくて、『硬式とこんなに違うんだ』ってショックでした。思うようにプレーできるまで3年ほどかかりました。

 でも、その難しさが楽しさでもあった。あんなフワッとしたボールでも、なかなかうまく返せないのがラージだし、そこに奥深さがあるんです」

 現在は選手としてプレーしながら、ラージの指導も行い、普及にも力を入れている。もともと高知はラージが盛んな地域だが、さらに多くの人にラージに親しんでもらいたいと話す。

 「大会でも初心者の部を作って、『サービスは上回転のロングサービスだけ』とか、楽しく試合ができるルールでプレーしています。本当にラージはどんな人でもプレーできるし、生涯スポーツとして最適。県の協会とも話していますが、もっと魅力を広めていきたいですね」

 10年ほど前から次男の優太もラージを始め、2018年の第1回全日本ラージ混合ダブルス80では親子ペアで優勝。優太の双子の姉・優希(現姓:藤見)も今年の全日本ラージ混合ダブルス80で優勝を果たし、國松家3人目の全日本ラージ優勝者となった。県内の大会には優希と優太、長男の武蔵と4人で出場するなど、國松家にとってラージは家族で過ごすかけがえのない時間であり、生活の一部となっている。

 「親子で一緒に試合に出られるのもラージの楽しさ。うちの家族は本当に仲が良くて、いつか子どもたち3人と団体戦に出たいなと思ってるんです。これからも家族、素晴らしい仲間と楽しく卓球を続けていけたらと思います」 

(文中敬称略)