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【People】河田靖司:地元・岐阜で監督生活22年。名門チームの灯を守り、地域貢献を続ける

監督就任の2年後に日本リーグで初優勝、その後も多くの全国タイトル。「選手には『絶対に全員使うから準備しろよ』と伝えます」

 監督就任後、卓球部の練習場にあった卓球雑誌を引っ張り出し、選手たちの幼い頃からの記事をチェックして、出身のクラブや経歴などを覚えることから始めたという河田。当時、土日は練習が休みだった卓球部に土曜の午前練習を取り入れ、女子大学卓球界で無敵を誇っていた淑徳大から高橋美貴江や潮崎由香という主力選手を勧誘。さらに当時、世界のトップランカーだった香港の柳絮飛と契約するため、香港に飛んだ。

 「当時、日本リーグの女子では梅村(礼・日本生命/当時)さんが17位で最上位。柳絮飛が16位で、梅村さんより上だったのでぼくが契約を決めちゃったんです。監督になってすぐの頃に、日本代表の高橋、そして柳絮飛がいてくれたことですごく勉強になりましたね」(河田)

 そして十六銀行は、2004(平成16)年の前期日本リーグで悲願の初優勝。後期リーグも制し、シーズン総合優勝。その後も数多くの国内タイトルを獲得してきた。「中国人のコーチだけでなく、中国人のトレーナーとも契約して2人体制で強化を進めたり、OKしてもらえることはどんどんやっていきました。それも会社の理解があってこそですよね」(河田)。

2004年前期日本リーグ・女子1部で初優勝の十六銀行(当時)。日本代表の高橋美貴江(前列左端)、香港代表の柳絮飛(前列右から2番目)、新人の潮崎由香(後列右から2番目)らが活躍した。後列右から4人目が河田

 女子のトップ選手を監督としてまとめていくうえで、河田が心がけているのは適切な距離感。要は「あまり距離を詰めすぎないこと」だという。部員に困ったことがあればいつでも相談に乗るが、どの選手とも平等に距離を取り、あまり近づきすぎない。

 そして大会の団体戦では、基本的に選手たちを全員試合に出す。全員が出場して、全員が勝利して優勝を勝ち取るのが理想だ。「通常の会社の業務をやっていない選手たちは、いわば卓球が仕事。やはり試合に出てこそ、というのがあるし、大会前には『絶対に全員使うから準備しろよ』と伝えますね」(河田)。

2020年のJTTLファイナル4で優勝した十六銀行(当時)。現在はメンバーが大きく入れ替わったが、「選手全員で戦う」という基本姿勢は変わらない