【People】河田靖司:地元・岐阜で監督生活22年。名門チームの灯を守り、地域貢献を続ける
地域貢献にも積極的に取り組み、恩返しと同時に卓球部の存在意義を高める。
「高校・大学にも強豪チームがある岐阜。いつか世界に羽ばたく選手を」
チームの強化だけでなく、地域貢献に力を入れているのも、十六フィナンシャルグループ女子卓球部の特徴だ。卓球教室や地元のショッピングモールでのイベント、長良川の清掃などさまざまな活動を行う。それは地域への恩返しであり、同時に多くのメディアや社内のイントラネットを通して卓球部の存在感を高め、部を守っていくことにも繋がる。イベントの依頼を受ける際には、「なるべく地方紙や市の広報誌に取材の依頼をしてほしい」と要望を出すこともある。たとえ小学校の学校新聞でも、少しでも卓球部の存在を知ってもらいたいからだ。
今年7月、岐阜メモリアルセンターで行われた『バタフライ 第43回全日本クラブ選手権』では、受付の仕事を笑顔でこなす十六フィナンシャルグループ卓球部員の姿があった。「午後は練習をするので半日のお手伝いですが、参加させてもらって良かったなと思います」と河田は言う。
「どんな大会にも裏方さんがいてこそ運営できているんだというのが、わかる機会になる。それに出場している選手の中には部員の知り合いがたくさんいますが、会話の中から『私たち、すごく恵まれているかも』と感じた子もいると思います」
部員たちが恵まれた環境で練習に打ち込む一方で、河田は日本リーグの監督としては珍しく会社の業務も担当。監督に就任した当時は卓球部の専任だったが、7年ほど前から会社の業務も担当している。大会での遠征前は、なるべく前倒しで業務をこなしたいが、練習場にいられる時間が短くなっても良くない。遠征先でも試合の合間や、試合後のホテルで仕事をこなすなど、ハードな日々を送る。
「卓球部の専任でやりたいと思う時もありますが、選手が仕事をしていないぶん、ぼくが社内との接点になることで卓球部について理解してもらいやすい面もある。『選手は仕事をしていないんですか?』と聞かれたら、『ぼくが6人分やっているので大丈夫です』と答えます」(河田)
日本リーグの女子で一大勢力だった銀行チームの多くが活動を休止する中、チーム名こそ変わったものの、今も女子1部で優勝戦線に加わる十六フィナンシャルグループ。
創部44年目を迎えたその名門を守り続ける「番人」には、秘めたる思いがある。十六フィナンシャルグループのある岐阜には、富田高や朝日大という、インターハイやインカレで全国優勝の経験を持つチームがある。そんな「チーム岐阜」から、いつか世界に羽ばたく選手を。岐阜生まれ、岐阜育ちの河田靖司の願いだ。