[特集・石川佳純]2015年、全日本三冠王。「これは相手との勝負でもあるし、自分との勝負でもある。だから攻めるしかない」
卓球王国2015年4月号掲載 石川佳純●全農 <前編>
負けない強さがある。準決勝の前田戦で窮地に追い込まれながらも乗り越えた。女子では54年ぶりの三冠を達成した石川佳純は苦しみながらも世界ランキング4位の意地と強さを見せつけた。
「全日本卓球」を制した女王の涙と笑顔の向こう側には何があったのか。
石川佳純●いしかわ・かすみ
1993年2月23日生まれ、山口県出身。四天王寺高卒、全農所属。13歳の時に全日本選手権でベスト4入り、平成22年度全日本選手権で初優勝。平成25年度・26年度の同大会で2連覇して、通算3度目の優勝を果たし、26年度は女子では54年ぶりの三冠王となった。09年世界選手権ではシングルスベスト8、12年ロンドン五輪では団体銀メダルを獲得し、シングルスでも日本人初の準決勝進出を果たした。2014年ITTFワールドツアー・グランドファイナル優勝。世界ランキング4位(15年2月当時)
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今年は競った試合、苦しい試合が多かった分、去年よりもうれしかった
一度も負けないで「全日本卓球」(全日本選手権)を終えた石川佳純は、苦しかった全日本を振り返った。試合中の張り詰めたアスリートの顔と違う素顔の彼女は、22歳を目前に控えた大人の女性の佇(たたず)まいの中にいた。
石川は混合ダブルス、女子ダブルスと優勝を重ね、2015年1月18日の最終日、東京・千駄ヶ谷の東京体育館のセンターコートに立った。
準決勝の前田戦では1ー3とゲームをリードされ、絶体絶命のピンチを迎えながらも冷静にプレーする。最終ゲームでも8ー9まで追い込まれ、観客が固唾(かたず)を呑む中での冷静、かつ思い切ったプレー。そこで見せたのは世界トップランカーとしての強靱なメンタルと卓越したテクニックだった。
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●―2年連続優勝。改めておめでとうございます。
石川 ありがとうございます。
●―5年連続の決勝でした。
石川 あっという間ですね。うれしいです。
●―今回はそれに三冠王も加わりました。大会前から狙ってましたか?
石川 もちろん、3種目出るからには3つ獲りたかったし、去年は二冠で悔しい思いをしたので、今年は獲りたかった。