[ワルドナー伝説]vol.19 第3章 2 ワルドナーのプライベートライフ
『100年にひとりの天才』と称された、ワルドナー(スウェーデン)の半生に迫った書籍『ワルドナー伝説』(卓球王国刊・絶版)。人気を博した1冊を卓球王国PLUSでプレイバック。(第3章の掲載が第2章から1カ月ほど間があいてしまったことお詫び申し上げます)
Text by
イエンス・フェリッカJens Fellke
第3章 アウトサイド・ザ・コート
Outside the court
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2 ワルドナーのプライベートライフ
■ 彼のゴルフテクニックはほとんど自己流で、模範的なプレーからはほど遠かった
その日、カルマーのゴルフコースには強い日差しが照りつけていた。
そのコースはスウェーデンの中でももっとも美しいゴルフ場のひとつと言われている。私は目の前のフェアウェイを見つめながら、バンカーとバンカーの間にいるはずのヤン-オベ・ワルドナーを探していた。彼はまさに7ホール目のグリーン上でカップにボールを入れるところだった。
「これで3連続パーだよ」
彼は、ゴルフバッグにクラブを入れながら満足そうに言った。
彼は強い日差しを避けるために野球帽をかぶり、ターコイズ・ブルーのTシャツ、そして、ベージュのハーフパンツをはき、黒のゴルフシューズに白い卓球のソックスという出で立ちだった。
ソーダ水に口をつけながら、ワルドナーは先週スウェーデンで行われた「スカンジナビアン・マスターズ」というゴルフのヨーロッパツアーについて話してくれた。彼はそのトーナメントを見に行っていたのだ。
「コリン・モンゴメリーがすごかったね。カップまで110mくらいのところから打ったら、グリーン上にボールは落ちて、その時にはカップまで遠かったのに、何とバックスピンのかかったボールがカップまであと2、3cmというところまで寄ったんだ。スゴイと思わないかい?」
ワルドナーがゴルフを始めるようになったのは80年代の終わり頃。それからというもの、夏の休暇の時には、彼はいろいろなところでゴルフを楽しんでいた。