【今野の眼】なぜ1日1試合でもトップ選手たちは故障や体へのダメージを感じるのか
真説 卓球おもしろ物語19【激動の70年代末を飾った二人の世界チャンピオン】
〈その19〉卓球王国2022年1月号掲載
Text by
伊藤条太Jota Ito
卓球史研究家・卓球コラムニストの伊藤条太氏が、独自の視点で卓球史を紹介するこのコーナー。今回は、中国の異質反転プレーの猛威、ヨーロッパのパワー卓球が勢力を増す1970年代後半の物語。中国・ヨーロッパの波が強くなる中、河野満、小野誠治という世界チャンピオンが日本から誕生した。
参考文献:『卓球レポート』、『卓球ジャーナル』、蓮池薫『拉致と決断』
異質反転プレーの猛威に必死であらがう日本の卓球
1975年世界選手権で、中国の異質反転プレーとヨーロッパのパワープレーに圧倒されながらも男子シングルスで河野満と高島規郎が3位に入る健闘を見せた日本だったが、先の見通しは明るいものではなかった。その年の11月に行われたスカンジナビア・オープンでは、中国から新たな強力な選手として黄亮(コウ・リョウ)という身長180センチほどの大柄のカットマンが登場し、裏ソフト+粒高による変化プレーと強烈な攻撃で活躍した。翌年2月の日中交歓大会でも団体戦で8勝1敗という成績で存在感を示した。
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