【今野の眼】なぜ1日1試合でもトップ選手たちは故障や体へのダメージを感じるのか
真説 卓球おもしろ物語21【“異質反転プレー”の終焉とスウェーデンの技術革新】
〈その21〉卓球王国2022年3月号掲載
Text by
伊藤条太Jota Ito
卓球史研究家・卓球コラムニストの伊藤条太氏が、独自の視点で卓球史を紹介するこのコーナー。1983年東京大会、異質反転プレーに危機感を抱いたITTF(国際卓球連盟)がルールを変更。男子決勝を中国と争ったスウェーデンは、中国から学んだ技術・練習を取り入れ、独自の進化を遂(と)げていく。
参考文献:藤井基男『卓球物語』(p.62日洪戦)、イエンス・フェリッカ『ワルドナー伝説』
異質反転プレーに終止符を打った“両面異色ルール”
1970年代から世界卓球界を席巻(せっけん)した、ラケットの両面に性質の異なるラバーを貼って反転する“異質反転プレー”は、1983年世界選手権東京大会で頂点を迎えた。
バック面にアンチラバーを貼った攻撃型の蔡振華(サイ・シンカ/中国)は、ほぼ敵なし状態で男子シングルスで2大会連続の銀メダルを獲り(優勝はチームメイトの郭躍華/カク・ヤクカ)、81年団体準優勝で83年同3位のハンガリーはなんと、イストバン・ヨニエル、ガボー・ゲルゲリー、ゾルト・クリストンの全員が片面アンチに転向し、日本男子のメダルの夢を砕いた。女子でも表ソフトと粒高を駆使したペン反転の倪夏蓮(ゲイ・カレン/中国)が団体決勝で中国の5連覇を決めた。
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