こだわりすぎた男たち Vol.6 政本尚
[さよなら、ティモ。キミを忘れない]「ぼくは卓球とともに生きてきた。いつも卓球のそばにいた」(ティモ・ボル)
卓球王国2025年2月号掲載 前編
会場のすべての観客が「ティモ、ティモ」と応援するように叫んでいた。「ありがとう」という感謝の声もあったけど、ぼくが感謝を言いたかったんだよ。すべてが特別な時間だった
Interview by
今野昇Noboru Konno
偉大な卓球選手がもうすぐコートを去ろうとしている。ティモ・ボル、ドイツが生んだ不世出のスーパースター。
2000年以降の世界の卓球界を華麗に駆け抜け、唯一無二のプレースタイルを確立させた。2024年夏のパリ五輪が最後の国際大会となり、2025年の春に終わるブンデスリーガでラケットを置く。その卓球人生を振り返り、ティモ・ボルは何を語るのか。
<Photo ITTF>
彼らと離れるのは寂しいものだよ。感情が揺さぶられたね
インタビューの日、モニター越しに見るティモ・ボルはいつもと同じだった。今シーズンのブンデスリーガの終了をもって40年近い選手生活にピリオドを打つことを表明。欧州の皇帝と呼ばれ、彼にしかできない両ハンド攻撃で数々のタイトル、メダルを手にしたスーパースターがコートを去る日は近い。今の心境を語り、その卓球人生を振り返ってもらった。