水谷隼の[卓球の試合を10倍楽しむポイント]vol.3:サービスの駆け引き
卓球王国2024年3月号掲載
解説・水谷隼[東京五輪金メダリスト]
全日本選手権を前に、東京五輪金メダリスト・水谷隼さんが、サービスとレシーブを中心とした試合への自身の視点を紹介。これを読めば、卓球観戦のポイントがより深まり、卓球がさらにおもしろく感じられるかも⁉︎
サービスには「ロートス」「ミッドトス」「ハイトス」がある
卓球のサービスはルール上、ボールのトスを16㎝以上、上方向に投げ上げて出します。低く上げるのを「ロートス」、80㎝~1mほどの高さまで上げるのを「ミッドトス」、2m以上上げて出すのが「ハイトス」です。私が最も得意としていたのはハイトスサービスで、このサービスではボールの落下スピードを利用して強い回転をかけることができます。ただし、その分、コントロールの難しさも伴います。
ロートスサービスは、あまり大きなバックスイングが取れないため、巻き込みサービス(右利きであれば左横回転系)やYGサービス(同じく左横回転系)、縦回転系(下回転と無回転)のサービスがやりやすい特徴があります。一方、ミッドトスでは体を捻ったり、ある程度大きなバックスイングが取りやすいなど、それぞれに利点があります。
最初に効いたサービスを使い続けるのか、終盤に使うのか
2001年以降、卓球は1ゲーム11点制となり、サービスは2本交代になりました。この2本のサービスの組み立て方は選手によって異なります。vol.1で述べたように、前半で効果があったサービスを続けて出す選手もいれば、効果があると分かったサービスを後半に温存する選手もいます。ちなみに私(水谷)は後者のタイプでした。