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真説 卓球おもしろ物語24【スウェーデン黄金時代とどん底の中国】

〈その24〉卓球王国2022年6月号掲載

Text by

伊藤条太Jota Ito

卓球史研究家・卓球コラムニストの伊藤条太氏が、独自の視点で卓球史を紹介するこのコーナー。今回は、1991年世界選手権千葉大会から1993年同イエテボリ大会にかけての物語。91年千葉大会で中国男子は無冠となり、女子団体でも南北朝鮮合同チーム「コリア」が中国の9連覇を阻(はば)みセンセーショナルな優勝を遂げた。新しいスタイルを模索する中国は、「裏面打法」という独自のスタイルを確立していく。

参考文献:『卓球 知識の泉』藤井基男、『卓球物語』、『卓球レポート』1991年7月号、『TSPトピックス』1992年8月号

1991年世界選手権千葉大会男子を支配するヨーロッパとどん底の中国

 1991年世界選手権千葉大会は、ブルーの卓球台、オレンジのボール、ワインレッドのフロアマット、白のウエア可といった、“カラー化”が適用された初の世界選手権となった。観客が見やすいように低いフェンスを用意し、ボールパーソンを配置したのもこの大会が初めてだった。さらに、世界選手権が始まって以来続いてきた男子団体の9シングルス制に代わり、女子団体と同じく4シングルス1ダブルス制を採用(男子は次大会から、女子は1997年大会から5シングルス制に変更)。参加協会数、観客動員数でも新記録を作り、20世紀最後の10年の幕開けに相応(ふさわ)しい大会となった。
 男子は、前大会にも増してスウェーデンを代表とするヨーロッパに覇権(はけん)が完全に移ったことが鮮明となった。男子団体は、ヤン─オベ・ワルドナー、ヨルゲン・パーソン、ミカエル・アペルグレンを擁(よう)するスウェーデンが決勝でユーゴスラビアを破って2連覇を達成し、3位にベルギーとチェコスロバキアが入り、ヨーロッパ勢が表彰台を独占した。
 男子シングルスは前大会に続いてワルドナーとパーソンが決勝を争い、パーソンが雪辱(せつじょく)した。ワルドナーはこれで3大会連続の決勝進出となった。

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