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[アーカイブ]中国の長城を超えた男・柳承敏「オリンピックの決勝で緊張しない人はいない。その中で勝つのが本当の実力じゃないかと考えています」

卓球王国2005年1月号掲載  柳承敏(韓国)・五輪金メダリスト

2025年1月14日に韓国オリンピック委員会の会長選挙で現職を破り、当選した柳承敏氏。ついに五輪金メダリストは韓国のスポーツ組織のトップに立つ。彼の現役時代のインタビューをアーカイブとして紹介しよう。原稿は当時のインタビューの原文である。(文中敬称略)

1988年。卓球にとって初の五輪となったソウル。そこで優勝したのは地元韓国の劉南奎(ユー・ナムキュ)だった。その時、6歳だった柳承敏はまだ卓球を始めていない。あれから16年経った2004年のアテネ。22歳の韓国の若者が、その溢れんばかりのパワーで、天才ワルドナーを倒し、中国の牙城を崩落させ、金メダルを獲得した。韓国で「卓球の神童」と言われた柳承敏は、いかにして世界の頂点に立ったのだろう。

interview by

今野昇Noboru Konno

五輪2週間前に腰を傷めて、ボールを打つことができませんでした。ボールを打てないのでイメージトレーニングだけをしてました

 2004年8月23日のアテネ。ガラツィ・オリンピックホールでは驚きと熱狂の声が渦(うず)巻いた。22歳の柳承敏が中国の王皓(ワン・ハオ)を破り、韓国選手としては1988年の劉南奎以来、16年ぶりのシングルス金メダリストに輝いた瞬間だった。
 その熱狂の波は地元韓国も襲った。中継されたテレビの前で韓国の人々は歓喜の声をあげていた。26日に韓国の仁川(インチョン)国際空港に降り立った柳承敏は、歓迎の人波に押しつぶされそうになっていた。アテネ五輪で9個の金メダルを獲得した韓国だが、人々をもっとも熱狂させたのは、卓球の柳承敏の優勝だったと言う。
 マスコミは彼の私生活にも目を向け、ガールフレンドであるキム・アルムさんとの仲も書きたてていた。彼女は同じ学校の同級生で、現在は教師の仕事に就いている。五輪での優勝会見でも、韓国人記者から「この金メダルを持ってキムさんにプロポーズをしますか?」という質問まで飛び出た。「ぼくらはまだ若い。そういうことはまだ考えていない。でもこの金メダルによって二人の雰囲気は良くなるかも」と柳承敏は切り返した。こういったプライベートなことも話題になるほどの正真正銘のスターである。
 国内での超多忙なスケジュールをぬって来日し、講習会などのイベントをこなした金メダリスト。講習会で立ち寄った名古屋で、彼の取材を行なった。

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