[パリでのラストダンス] Part2「私たちは自らの努力によって出場枠を争い、公明正大に戦いました。ネットからの攻撃を恐れてはいません」(陳夢)
卓球王国2025年3月号掲載
● 陳夢 チェン・ムン
1994年1月15日生まれ、中国・山東省出身。5歳で卓球を始め、2011年世界ジュニア選手権で4冠王。世界選手権は2013年個人戦から中国代表として出場し、団体・ダブルスで優勝6回、シングルスは2019・23年大会で準優勝。2021年東京五輪、2024年パリ五輪でともにシングルス・団体の2冠に輝き、4枚の金メダルを獲得した。右シェーク両面裏ソフトドライブ型
記事提供=『世界』text by Table Tennis World
インタビュー=陳思婧 interview by Chen Sijing
文・翻訳=柳澤太朗 text & translation by Taro Yanagisawa
写真=レミー・グロス、浅野敬純 photographs by Rémy Gros & Takazumi Asano
「私たちは同じ規則の下で、自らの努力によって出場枠を争い、公明正大に戦いました。ネットからの攻撃を恐れてはいません」(陳夢)
今、中国では一部の熱狂的なファンによる過剰な選手への接触や、選手へのネットでの誹謗中傷が大きな問題になっている。樊振東と陳夢は、中国チームでも最もその影響を受けた選手と言えるかもしれない。
樊振東はこれまで『微博』で、ファンに対してたびたび冷静な行動を呼びかけている。12月15日にも「ファンの皆さんに、プライバシーへの理解と尊重を今一度お願いします」と書き込んだ。
陳夢に向けられる視線はさらに厳しいものだった。陳夢はパリ五輪・女子シングルス代表の選考レースの最終戦となった24年5月のサウジスマッシュで優勝し、2枚目のシングルスの切符をつかんだ。陳夢と王曼昱のシングルス代表権争いが最後までもつれ、特例として女子だけサウジスマッシュまで選手選考が延長されたことで、王曼昱のファンからは怒りの声があがった。外国選手に多く敗れていた彼女のシングルス出場を疑問視する声もあった。
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●─オリンピックのシングルスの出場枠を獲得してから、あなたは世論というプレッシャーにも直面しました。それをどのように消化していったのですか?