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メーカーはなぜ用具を使っていない選手と契約するのか。選手にとってメーカー契約とは何だろう

卓球王国PLUS独占記事「今野の眼」

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今野昇Noboru Konno

用具契約による無償提供、お金が発生する契約、そしてロイヤリティ契約

卓球メーカーは選手たちと契約する。それはもちろん、選手を広告に起用し、講習会などでもメーカーのイメージを向上させてもらうためである。一方、プロ選手にとってはメーカーとの契約は一つの収入源となり、アマチュア選手にとっては用具(特にラバー)を無償提供してもらうことが経済的に助けとなる。

選手とメーカーの契約にはいくつかの形式がある。

  1. 1・用具契約
    契約する選手個人に対して、メーカーが用具のみを提供する形。たとえば、ラバーを年間20枚、ラケットを3本、ウエアを5枚、トラックスーツを2着、シューズを4足といった具合だ。選手が他のメーカーの用具を個人活動で着用したり使用した場合、契約違反となり、契約解除となる。
  2. 2・金銭契約
    上記の用具提供に加え、毎月一定の金額がメーカーから選手に振り込まれる形。月5万円の選手もいれば、50万円の選手もいる。用具提供の数もさらに増え、選手が望めば数を気にせずにメーカーから支給されることもある。メーカーは選手の肖像をカタログやポスターに使用できるが、メーカーのイベントや講習会に年に数回参加することが義務付けられる。
    さらにWTTなどに参戦する選手であれば、ほとんどが自費参加なので、「2大会分はメーカーが負担します」という項目を契約に入れることもある。1回の海外参戦は50~60万円かかるので、実質100万円を超えるサポートになる。
  3. 3・用具のロイヤリティ契約
    ロイヤリティとは、出版界での印税に当たる。また、ビジネスの世界では商標権とも言える。選手の名前の入ったラケットなどがこれに該当する。選手の名前や肖像を使ってラケットという製品を売るものであり、イメージの良い選手やチャンピオンになると、一般の選手たちは選手の名前の入ったグッズが欲しくなる。ラケットであれば、売れた本数✕定価✕何%という形で、選手には報酬が入る。
    ただし、選手は水物で、常に勝ち続けるわけではなく、突然メーカーを変える選手もいる。そのため、メーカーはそのラケットが不良在庫として残ってしまう可能性があるので、この契約を結ぶことや商品を作るには慎重になる。

福原選手時代に発生した、用具、アパレル、シューズの個別契約

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