【タイムマシン・4】この子はダ〜〜レ?「ジュニアで世界の頂点に立ったぞ!」

卓球マニア養成ギブス[ようこそ卓球地獄へ] 奇天烈営業マン
卓球王国ブックス「ようこそ卓球地獄へ」<第1章 奇天烈卓球人ファイル>より<その3>

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伊藤条太Jota Ito
類希なる意思の弱さと、ずうずうしいまでの楽観性、そして勝利への渇望
2013年、田丸さんに匹敵する奇天烈な方とお会いすることができた。営業マンのYさんだ。Yさんは私と同年代の建材会社に勤める営業マンだが、私のコラムの大ファンだということで熱烈なお誘いを受け、仙台で夕食をご一緒したのだ。
この方、卓球に対する情熱は疑いないのだが、その実力はあまりに絶望的である。なにしろ高校三年の時に「横回転を返せないので先輩にアンチにさせられた」と言うのだから尋常ではない。謙遜するにしても度を越している。普通、そこまで下手だと情熱を保ち続けることは難しいはずだが、Yさんはなぜかそれを実に楽しそうに語るのだ。まるでそこにモチベーションがあるかのようでさえある。最初こそ戸惑った私だったが、途中からは調子に乗って一緒に笑わせていただくという、実に珍しい会食となったのだった(本当によかったのだろうか)。