
早田ひな「大舞台で発揮する爆発力は持っていると思うので、常に勝ち続けられる選手になりたい」
卓球王国2025年4月号掲載
ALL JAPAN CHAMPION’S INTERVIEW
HAYATA,Hina
早田ひな 日本生命
去年の全日本での早田ひなは「強かった」。まるでパリ五輪へ、ギアをトップに入れるのを見せつけるかのように。
しかし、今年の早田ひなは「強さ」に、「うまさ」が加わった。まだ左腕のケガは癒えていないのに、この勝ちっぷりは驚きだ。腕のケガさえも彼女自身の糧にしてしまう、恐るべき強さを見せつけた。

◆ はやた・ひな
2000年7月7日生まれ、福岡県出身。全国中学校大会2連覇、インターハイ優勝。2020・23・24・25年全日本選手権優勝。世界選手権では伊藤美誠との女子ダブルス、張本智和との混合ダブルスで2大会連続の銀メダルを獲得。2021年アジア選手権では団体・単・混合複の3冠。23年世界選手権シングルス3位。24年パリ五輪女子シングルス銅メダル、女子団体銀メダルを獲得。日本生命所属、世界ランキング5位(2025年2月4日現在)
Interview by
PHOTO 奈良武

医師の判断と「チームひな」によるリハビリでうまく進められたのが一番大きかった
それは昨年の8月1日だった。パリ五輪の女子シングルス準々決勝で、早田ひな(日本生命)はピョン・ソンギョン(北朝鮮※)に4-3の激戦の末に競り勝ったものの、左手首を傷めてしまった。
翌2日に、準決勝で孫穎莎(中国)に敗れ、3日には申裕斌(韓国)と銅メダル決定戦で戦った。痛み止めの注射と夜通しのケアを施した左腕は限界を超えていたのだろう。メダル獲得、その代償は左腕のケガだった。
早田は10月のアジア選手権では大会途中で棄権した。11月のWTTファイナルズ福岡でも、バックハンドは振れていなかった。福岡での試合を見た人は「あの状態で全日本を戦えるのか」と感じたはずだ。今大会も大会前半では苦しむ試合があったが、尻上がりに調子を上げ、最終日の大藤沙月(ミキハウス)、張本美和(木下グループ)という世界ランキング一桁の選手をストレートの完封で抑え込んだ試合はまさに「女王の強さ」だった。
大会終了から3日後の「チャンピオンズ・インタビュー」。早田ひなはシンガポールスマッシュを戦う直前、現地から取材に応じてくれた。
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●─全日本卓球が終わって3日経ちましたが、優勝直後と比べると、今、何か別の気持ちや感情がありますか?
早田 優勝できて良かったなというホッとした気持ちですが、ちょっと信じられない気持ちもあります。