THE FINAL 2025 列島縦断 ローカルヒーロー大集合! 〈その2〉

卓球マニア養成ギブス[ようこそ卓球地獄へ]天才・村上力
卓球王国ブックス「ようこそ卓球地獄へ」<第1章 奇天烈卓球人ファイル>より<その6>

Text & Illustration by
伊藤条太Jota Ito
これほどふざけた、青少年の教育に悪い人はいないのである
村上力ほどの天才が、他にいるのだろうか。学生時代の後半、桔梗苦羅舞で村上さんの卓球を間近に見ながら、いつもそう考えていたものである。彼が全国的にラージボールのカリスマになった今、やっぱりこんな人はどこにもいなかったのだなと、あらためて思う。
村上さんは、自分には卓球の才能はないと語る。それでもある程度勝てる(全日本選手権の硬式・軟式の各種目で十回優勝)のは、“頭を使っているから”なのだそうだ。ところが、彼の作戦とは「カーブドライブでサイド切って次をシュートかける」とか「相手のツッツキの回転を残して下回転を入れたスマッシュをする」など、凡人が聞いても実行できないものばかりなのだ。こういう思いつきを試合で実行できるところが天才なのだが、本人にその自覚はない。