上田仁はなぜ今季で引退するのか。ブンデスで活躍しているのに、「『選手としての上田』よりも『戸上のコーチとしての上田』がまさった」

卓球マニア養成ギブス[ようこそ卓球地獄へ]バリー・ヘイター
卓球王国ブックス「ようこそ卓球地獄へ」<第1章 奇天烈卓球人ファイル>より<その7>

Text & Illustration by
伊藤条太Jota Ito
実はこの人、試合になると相手や審判、はては観客にまでクレームをつけて必ずモメにモメるという、途方もなくやっかいなジイさんとしても有名
東京近郊の卓球界で“バリさん”と呼ばれる有名人がいる。バリー・ヘイター62歳(2009年当時)。英国から来日してすでに三十数年、本職は大学の英語講師だ。外人だというだけでも目立つのに、素人のようなフォームで天才・村上力さんと大接戦を演じるほどの実力なのだから、嫌でも会場の注目を集めてしまう。注目を集める理由はそれだけではない。実はこの人、試合になると相手や審判、はては観客にまでクレームをつけて必ずモメにモメるという、途方もなくやっかいなジイさんとしても有名なのだ。そのくせ試合以外では誰にでも陽気に話しかけるという、真意の計り知れない奥の深さを持つ。なんと魅力的な人物なのだろうか。
と言うわけで、あるとき、編集部の仲介でバリさんと居酒屋でめでたく初対面をしたのだった。
バリさんは、話に聞いていたとおりの気さくな人だった。聞けば卓球王国の私のコラムも毎月読んでいるという。それなら話が早い。私が会いにきた理由も察しがついていることだろう。