
Another Story 船ヶ山昌子 「若い時からツッツキとショートなんですよ。やっと自分の卓球が年齢に追いついてきた」
卓球王国2025年6月号掲載「Another Story」 疾走するアスリートたち
Text by
今野昇Noboru Konno

■Profile ふながやま・まさこ
1953年5月8日、兵庫県淡路島生まれ。旧姓・木本。淡路島の三原高からユニチカ宇治に入社。全国での活躍は全日本マスターズ(全日本社会人選手権の年代別を含む)からで、1995年に40代で初優勝。50、60、65、70代で合計7回の優勝を果たした。東京選手権でも年代別で11回優勝。現在、愛知県豊橋市在住、愛知・サクセス所属、全日本マスターズ通算7回優勝
全日本社会人の年代別で初の入賞は34歳の時で、少しずつではあるが、全国レベルで頭角を現そうとしていた。
昨年、久しぶりに取材で足を運んだ全日本選手権・マスターズの部(以下、全日本マスターズ)では、選手たちは年齢に関係なく試合を楽しみ、元気にラケットを振る姿が微笑ましかった。見るからに「練習をやり込んでいるな」と思わせる人々が多く、一球一球の気合いの入り方は尋常(じんじょう)ではなかった。その中で女子のローセブンティ(70歳以上)で優勝した船ヶ山昌子の試合ぶりには非常に惹かれるものがあった。ポーカーフェイスで淡々と試合を進め、背筋はピンと伸び、凛(りん)とした佇(たたず)まいを見せる。彼女はなぜ独特の空気感を放つのだろうか。
実は船ヶ山は、28年前の卓球王国創刊の頃からの読者で、昨年5月末にスタートしたWEBの「卓球王国PLUS」では6番目の有料会員だった。そのことを伝えると「6番目ですか。1番目になりたかった」とポツリ。インタビューではテンポよく答えが返ってくる。試合では決して見せない笑顔を浮かべる。