
佐藤瞳「若くして大成するんじゃなくて、年齢を重ねて大成する人がいてもいいですよね」
卓球王国PLUS独占インタビュー 佐藤瞳(日本ペイント)後編
小さい頃から輝くような才能を全国に示してきたわけではない。
小学2年から卓球を始め、半年もしないうちにカットマンとなった。当時の指導者は佐藤瞳に「カットマン的な素質」を見いだしたのだろうか。
小学6年の全日本ホープスで「いきなりの準優勝」を果たし、いくつかのチームから声がかかったが、地元の中学を選んだ。
尾札部中の3年生の時には全国中学校大会で優勝。またもや全国の多くの高校からスカウトが来たが、北海道の札幌大谷高校に進むことを決めた。
高校時代からオーソドックスなカットマンとして将来を期待されていたが、爆発的な活躍を見せることもなく、一歩ずつ進んでいった佐藤瞳。それは大阪のミキハウスに進んでも変わらなかった。「一歩ずつ」進み、気がつけば2017年には世界ランキング9位まで上り詰めていた。
苦労して積み上げた世界ランキングも、2020年以降のコロナ禍でゼロになり、カットマンにとって不利と言われる国内選考会がパリ五輪のためのハードルとなった。
勝ち進めない日々が続いた。苦しむ日々があった。しかし、佐藤瞳は決して諦めない。彼女を突き動かすものは何なのだろうか。
佐藤瞳 日本ペイント

Interview by
■ さとう・ひとみ
1997年12月23日、北海道函館市生まれ。尾札部中3年の時に全国中学校大会で優勝し、札幌大谷高1年でインターハイ準優勝。高校卒業後にミキハウスに入社、2019年世界選手権ブダペスト大会で橋本帆乃香との女子ダブルスで3位入賞し、銅メダルを獲得した。4月にミキハウスから日本ペイントに移籍した。2024年WTTファイナルズでは橋本との女子ダブルスで優勝を飾った。2017年に世界ランキング自己最高位9位、現在は世界ランキング40位(25年5月13日現在)
負けた後の切り替えが非常に遅く、気持ちを引きずっていました。それはとてももったいなかったと思います
●ーこの10年間で卓球に対して何か変わりましたか?
佐藤瞳(以下、瞳) ミキハウスに入った最初の頃は、目の前の試合で勝ちたい気持ちが強すぎて、負けた後の切り替えが非常に遅く、気持ちを引きずっていました。それはとてももったいなかったと思います。優勝できる選手は一人しかいないわけだから、冷静に考えればわかるのに、負けると落ち込んだり、試合前に非常に緊張していることももったいなかったです。
自分の中では、昨年、一昨年くらいから変わりました。早く切り替えて準備することで、次の大会の結果に影響を与えることができるのではないかと思ったのです。そうしたら、もっとたくさんのことをつかむことができると思いました。だから、切り替えの早さは変わりました。