
[ようこそ卓球地獄へ/妄想卓球スパーク!] 試合を見ないで実況・2008年北京五輪
卓球王国ブックス「ようこそ卓球地獄へ」<第3章 妄想卓球スパーク!>より <その27>

Text & Illustration by
伊藤条太Jota Ito
読者からの指摘で気がついたのだが、これも『試合を見ないで実況』の醍醐味と言えよう
卓球王国のウェブサイトで毎日ブログを書いているのだが、そこで北京五輪の実況を行った。広州での世界選手権の時は現場で試合を見ながらブログ実況をやったが、今回はアメリカの自宅からだ。しかもテレビ放送を見ることができないので、ITTFのウェブサイトのライブスコア、つまり得点だけを見ながら実況をするという、前代未聞のバカバカしい企画だ。
もともとはそんなことをするつもりはなかったのだが、日本女子が敗者復活戦でオーストリアに勝ったあたりからブログへのアクセス数がジワジワと上がってきて読者の期待を感じたため、急遽、勝手に書くことにした。自意識過剰かもしれん。
最初に実況をしたのは日本男子の準決勝、ドイツ戦だ。この試合、NHKで土曜の午後に生放送、さらにゴールデンタイムに録画放送されるという。ボル対水谷が全国ネットでお茶の間に流れるのだ。この歴史的な事態に、興奮するなというほうが無理である。最初は冗談半分で架空のラリーでも実況してやろうと思っていたのだが、いざ試合が始まると一気に興奮が沸点に達し、映像が見られないことなど気にもならずに絶叫スタイルの書き込みをした。自分の実況がほとんどプレー内容に関係なく、ただ興奮しているだけであることがあたらめて浮き彫りとなった。これでいいのだろうかとも思うが、それなりに読んでくれる人がいたのでこれでいいのだろう。