世界卓球ドーハの舞台裏・前編「同士討ちで響き渡る歪んだ声援」

世界卓球ドーハの舞台裏・前編「同士討ちで響き渡る歪んだ声援」
灼熱の太陽に負けじと、連日熱い戦いが展開されたドーハ大会。観客席を中国の女性ファンが埋め尽くし、大会の閉幕後も「場外戦」が繰り広げられた。現地からの舞台裏のニュースをお届けしよう。
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柳澤 太朗Taro Yanagisawa
大混乱のAGMはまさかの「中止」。わずか2票差でゾーイング会長が再選
大会閉幕後の5月27日に行われたITTF(国際卓球連盟)のAGM(年次総会)は、最大の焦点だった会長選挙を巡り、大荒れとなった。
現職のペトラ・ゾーイング会長(スウェーデン)と、地元カタールのカリル・アル−モハンナディ会長代理の一騎打ちとなった会長選挙。結果は「104対102」という僅差で、ゾーイング会長が再選された。しかし、オンラインでの連盟の投票を巡り、モハンナディ会長代理を支持する一部の参加メンバーが猛反発。会場は混乱に陥り、進行役のグラハム・シモンズ副会長はAGMの中止を宣言した。

2020年5月、モハンナディ会長代理と当時副会長だったゾーイング氏は、「会長としての資質に問題がある」とトーマス・バイカート会長(当時)を糾弾するレターを各協会に送付。翌年、ゾーイング氏が新たに会長に就任した。今回、そのふたりも袂を分かち、ITTFの執行委員会の不協和音が収まらないことを改めて印象づけた。
AGMが中止となったため、日本の星野一朗・日本卓球協会副会長が立候補していた副会長選挙も延期。副会長の選出については、現任のメンバーが任期満了となる11月24日までに行うとしている。