
伊藤美誠 リターンズ!「今回、私が獲った。これで同学年の3人がメダルを獲れて良かった」
卓球王国2025年9月号掲載

Interview by
強い伊藤美誠が戻ってきた。
5月の世界選手権ドーハ大会で中国の王芸迪を破って、見事メダルを獲得した伊藤美誠。自身初の世界選手権シングルスのメダル、中国を破ってのメダルの価値は大きい。
2021年の東京五輪で混合ダブルス・団体・シングルスで金銀銅のメダルを獲得したが、その後、パリ五輪の代表から外れ、失意の時期があった。その時間があったからこそ、今、卓球を楽しむ「強いミマ」がいる。
PHOTO 中川学

[いとう・みま]
2000年10月21日生まれ、静岡県出身。全日本選手権では3度優勝。2016年リオ五輪の女子団体銅メダル、2021年の東京五輪では日本卓球界史上初の混合ダブルス金メダル、女子シングルスでは史上初の銅メダル、女子団体銀メダルを獲得。2025年4月のワールドカップで3位、5月の世界選手権ドーハ大会では初のシングルス銅メダルを獲得した。世界ランキング8位(25年7月8日現在)、スターツ所属
もう23年間卓球をやっていて、年齢は若いけど、卓球ではベテランなんですよ
2021年7月、20歳で迎えた東京五輪で、混合ダブルス・団体・シングルスで金・銀・銅の3個のメダルを獲得した伊藤美誠。のちに「東京でシングルスの金メダルを獲れなかったことに罪悪感のようなものがありました」と語っている。
雪辱を期すはずのパリ五輪だったが、気持ちの整理がつかないまま国内選考会に臨み、最終の選考会(全日本選手権)で代表の座を逃し、失意の時間が流れていた。しかし、伊藤美誠は卓球をする楽しみを取り戻し、世界の舞台に戻ってきた。5月の世界選手権で王芸迪を破った試合には「強いミマ」がいた。
伊藤美誠の中で何かが変化している。
◇◇
●ー前回のインタビューは24年3月でしたね。
伊藤 あの時はパリ(五輪)の選考(レース)は終わっていて、すっきりさっぱりという感じでしたね。解放された感じでした。
●ー何か他のことに挑戦したこともあったんですか?
伊藤 少しずついろんなことに挑戦したりとか、今あるものに付け加えていきました。体の大事さがわかって、卓球以外のことで補うことも大事だと思いました。去年までは試行錯誤でしたが、今は準備の仕方もわかってきました。毎回一緒というのが自分はだめで、飽きないことがいいですね。毎回違うことは大変だけど、それが面白いと感じます。