優勝の本質を見てほしい。張本智和の凄さは、戦術転換の見事さと決断力にあった

優勝の本質を見てほしい。張本智和の凄さは、戦術転換の見事さと決断力にあった
卓球王国PLUS独占記事

Text by
今野昇Noboru Konno
勝因その1:戦術変更―チキータの封印
8月11日に閉幕したWTT(ワールド・テーブルテニス)チャンピオンズ横浜は、張本智和(トヨタ自動車)の劇的な優勝で幕を閉じた。
決勝の相手は、まさに“天敵”とも言える中国の王楚欽。対戦成績は2勝12敗と大きく負け越し、直近のWTT USスマッシュ(ラスベガス)でも完敗していた現世界チャンピオンだ。その王に対し、素晴らしい試合内容で4-2の勝利を収めた。
ところがネット上では、MTO(メディカルタイムアウト)や中国チーム監督との握手、勝利後のパフォーマンス、卓球台やボールといった周辺の話題ばかりが取り上げられ、本質的な勝因や張本の強さに触れる声は多くない。一般メディアや王楚欽のファンの立場を考えれば無理もないが、それでも今回の勝利は戦術面でこそ語られるべきだ。
過去の対戦では、張本は得意のチキータでレシーブからラリーを組み立ててきた。しかし本人は「USスマッシュで負けた瞬間に、次に当たったらチキータではなくフォアでのレシーブに変えようと思っていた」と語っている。