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[ようこそ卓球地獄へ/アメリカン卓球ライフ]ピータースとの再会

卓球王国ブックス「ようこそ卓球地獄へ」<第4章 アメリカン卓球ライフ>より <その37>

 

Text & Illustration by

伊藤条太Jota Ito

本当に食えないジジイである。ピータースは卓球王国の記事のコピーを大事そうに持って初夏の闇に消えて行った

 赴任してすぐに、ウォレンに恐る恐るピータースのことを聞いてみると、嬉しいことに彼はまだ元気であり、それどころか試合に出ているという。なんて嬉しいのだろう。ぜひ会って、恐ろしくも楽しい一夜のお礼を言わなくてはならない。

 3月のドーサンオープンにピータースが来るかもしれないと期待していたのだが、残念ながら試合には出てこなかった。昼ごろになって、ウォレンが選手たちに「ピータースが来た、ピータースが来た」と声をかけると、みんなゾロゾロとロビーに向かって歩き始めた。彼が試合を見に来たのだ。選手たちがみんな挨拶に行くのだから、ああ見えてたいした人望なのだ。7年前にたった一晩泊まっただけの私のことなど覚えていてくれるだろうか。はやる気持ちを抑えながらロビーに行くと、選手たちがテーブルを囲んで見下ろしている。ああ、そうか。ピータースはもう歩けないほど衰弱しているのだ。それでも大好きな卓球の試合を見に担架で運ばれるようにして来たのだ。胸がふさがれる思いで人だかりに近づくと、テーブルにピータースはおらず、ピザが置いてあった。ウォレンは「ピッツァースが来た」つまり「ピザが来た」と言っていたのである。

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