橋本帆乃香インタビュー「撮り下ろしアザーカット集」

猛暑の神戸で思いを馳せた。あの日、『近藤の眼』は何を見抜いていたのか
卓球王国PLUS独占記事

Text by
柳澤 太朗Taro Yanagisawa
きっと多くの卓球人が、「信じられない」という思いだっただろう。
早くも猛暑が続いていた7月の下旬、『全農杯 2025年全日本選手権(ホープス・カブ・バンビの部)』への出発を翌日に控える中、近藤欽司・前全日本女子監督の訃報が届いた。
1冊目の『夢に向かいて』に続き、近藤先生(やはりこう呼びたくなる)が卓球王国から出版した2冊目の著書『魅せられて、卓球』を編集したのは私だ。遥かに年下の私に対しても、丁寧な物腰と言葉遣いを崩さない人だった。
血気盛んな頃は、相当な「鬼監督」だったという。 「当時はねえ、選手をどれだけ厳しく指導できるか、指導者同士が互いに競い合うような雰囲気もあったんですよ」。そう語っていた笑顔は、当時のエピソードを聞いているだけに少々怖かった。
近藤先生に最後にお会いしたのは、3月に横浜で行われたホープス選抜の時だ。神奈川県卓球協会会長として、本部席で選手たちのプレーを見守っていた先生に、恐れ多くも「先生、将来性を感じる子がいたら、ぜひ教えてください」とお願いしたら、わざわざフロアを歩き回ってメモを取ってくださった。