[こだわりすぎた男たち 杉野卓男]赤アンチで相手を幻惑。「二刀流」ラケットの緩急

【アーカイブ/Another Story】広浜泰久/卓球人にして企業人。 コートでも「攻撃×カット」、二刀流が冴え渡る
卓球王国2020年9月号掲載[アナザー・ストーリー/広浜泰久]
[Another Story 疾走するアスリートたち]広浜泰久(神馬クラブ)
ひろはま・やすひさ
1951(昭和26)年5月3日生まれ、東京都出身。慶應義塾普通部(中学)1年時に卓球をはじめ、慶應義塾高3年時にインターハイベスト32、慶應義塾大3年時に国体準優勝(東京都チーム)、4年時に全日本学生ベスト32。全日本選手権には3回出場し、いずれもベスト64。全日本マスターズでは13年ローシックスティ3位、17・19年ハイシックスティ3位、17年東京選手権ハイシックスティ優勝。右シェーク両面裏ソフトカット型

Text & Photographs by
柳澤太朗Taro Yanagisawa
ペンドライブからカットに転向し、カット+攻撃のスタイルを模索。
「普通にカットしていたらダメだ」
花にたとえるなら、向日葵(ひまわり)のようだ。
卓球台を挟んで、ボールより先に鋭い眼光が飛び交うマスターズ(年代別)の世界。60歳以上のクラスともなれば、コートに漂う雰囲気は練達の剣豪の打ち合いか、天下を狙う強豪の国盗り物語か。暗雲漂うフロアで、広浜泰久のプレーするコートだけはひと筋、陽光が差しているように見える。
ウェアの襟をなびかせ、プレーは常に全力投球。アンラッキーな失点にも動じない堂々とした試合態度と、時折のぞく笑顔。そう、全身から「陽」のエネルギーが放たれているのだ。
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