
ラケットが重いとホントに威力が出るのか!?
「卓球グッズ2023」より
ラケット本体(ブレード)とラバーを合わせた“ラケット総重量”を気にする人は多い。「ラケットが重いほど威力が出る」と言われるが、それは正しいのだろうか? 力学の観点を交えつつ、「ラケットが重いとどうなるのか」をまとめてみた。

cooperation by
西田薫(協力)Kaoru Nishida
「重いから弾む」というより「弾む用具は重い」
木材は硬くて弾むものほど重い傾向にある(特殊素材についても同様)。また、ラバーも高性能なものほど重いのが一般的だ。だからこそ、「重いラケットは弾む」と言われるのだろう(ボールの「威力」は、スピードと回転を合わせた要素と考えられるが、ここではスピードのみの話に簡略化して考える)。
これは「重量があるから弾む」というより、「弾むラケットは重いものが多い」という理屈だ。では、弾みが同じで、重さが違う2本のラケットで打ち比べたら、どちらの方がスピードが出るのだろう?

重さはスピードに意外と貢献しない!?
弾み(反発係数)が同じで、重さだけ異なる2本のラケットがあったとして計算。すると、10m/秒で飛んでくるボールを、10m/秒のスイングスピードで打つ場合、200gのラケットと150gのラケットで比較した場合でも、ボールのスピードは1%足らずしかアップしない結果となった。これはあくまで「弾みが同じ」という仮定での結果で、回転の要素を考えていないものだが、「一般に思われているほど、重さは打球スピードに貢献しない」と言えそうだ。
一方で、スイングスピードが増せば、確実にボールのスピードも増す。そのため、ラケットを重くしてスイングスピードが落ちるくらいなら、軽いラケットでスイングを速くしたほうが、速いボールが打てるだろう。
