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「インターハイに混合ダブルスを」全国中高優勝監督・野田学園 橋津文彦の提言

卓球王国PLUS独占記事

2025年のインターハイで初優勝を遂げた野田学園高の橋津文彦監督

[橋津文彦 はしづ・ふみひこ]
1974年5月10日生まれ、山口県出身。柳井商業高3年時に中国高校選手権大会3冠、1年間のドイツ卓球留学を経て明治大に進学。卒業後、東洋大姫路高を経て仙台育英学園高の教員、卓球部監督となり、03・04年インターハイ学校対抗優勝。野田学園(山口)監督として今年2025年のインターハイの学校対抗で初優勝、全国中学校大会の団体では総監督として優勝に導いた

Interview by
今野昇Noboru Konno

私は「部活は残すべき」と考えています。いずれ高体連にも影響が出るでしょう。新しい時代に合った仕組みを作る必要があります

今夏のインターハイ男子学校対抗、そして全国中学校大会男子団体で優勝を果たした野田学園(山口)の橋津文彦監督が、中学部活動の縮小やインターハイの在り方について語った。

◇◇

中学の部活動縮小の波は、高校やインターハイにも及ぶと思います。インターハイや高校選抜大会では「ダブルスを3ゲーム制に短縮」という決定がされましたが、現状維持のために粘っているだけのようにも映ります。

現在、中学校の部活動(部活)の在り方が学校現場でも、日本のスポーツの世界でも大きな課題となっています。これはすぐに高校の問題にも移行してきます。

私は「部活は残すべき」と考えています。しかし、子どもたちが「うまくなりたい、強くなりたい」と思えなければ部活は続きません。そのために中学の部活にどんな問題があり、どう解決するかを考え、行動していきたい。山口県内でも中学の部活をやめる方向に動いている自治体がある一方、変わらないところもあるなどバラバラで、いずれ高体連にも影響が出るでしょう。新しい時代に合った仕組みを作る必要があります。

全中が縮小し、インターハイも将来的に規模縮小が懸念される中で、私案ですが「団体戦はダブルスをなくして5シングルス制」にし、個人戦のダブルス数を減らして「混合ダブルス」を導入してはどうでしょうか。

混合ダブルスは、同じ学校に限らず他校とのペアも認め、1県1ペアを代表としてインターハイに出場する形式です。学校スポーツとクラブスポーツの共存が課題となる今、またジェンダーの面からも、卓球が先駆けて「混合ダブルス」を創設する意義は大きいと思います。1県1組の代表ならば大会の進行にも大きな影響は与えないでしょう。

卓球は個人競技である一方、「学校対抗(団体戦)は残すべき種目」です。中高時代に、自分のためだけでなく仲間や学校の名誉のために声を枯らして応援し、勝利に歓喜し、敗北に涙する体験はかけがえのないものです。

例えば現在の全日本男子の岸川聖也監督は、私が仙台育英学園にいた頃の教え子です。当時、彼はブンデスリーガでプレーしながらも日本に戻り、インターハイに出場しました。団体戦で戦い、応援した経験は彼にとっても貴重だったはずです。その価値は守らなければなりません。

既存種目を守るだけでなく、未来の部活動、未来の全中・インターハイの姿を見据え、前向きに改革していくべきだと考えています。

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